さらに企業の景況感を調べる日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)で代表的な指標のひとつ、大企業・全産業の業況判断指数(DI)について、各年末(12月調査分。96年までは11月調査分)のデータを前の年と比べてみると、阪神がリーグ優勝した年の平均はプラス1.7。この約50年で巨人が優勝した年(20回分)の平均プラス5.7こそ下回りはしたものの、巨人と阪神の両チームを除くセ・リーグ4球団の平均マイナス4.7を大きく上回る。
業況判断DIは調査対象企業のうち、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた指数で、各年末の数値はその年の景況感が表れやすい。宅森さんは言う。
「この50年で阪神が優勝したのは3回にとどまります。サンプル数が少ないため(笑)、統計的に有意な結果であるとは必ずしも言い切れませんが、簡単に優勝ができないぶん優勝した場合の経済効果は大きいとみることもできます。とくに03年の優勝時の日銀短観の大企業・全産業の業況判断DIは前年比プラス12と良い数字でした」
では株価との関係はどうか。株価にはもちろん、各企業の業績やライバルの動向、各国の関連市場や海外の経済や政治の動向など、いろいろな要因が反映されるが、その国の景気の先行きを映すと言われる。宅森さんによれば、日経平均が前の年からその年の年末終値の年間騰落率は1985年にプラス13.6%、2003年に同24.5%、05年に同40.5%と、いずれの年も上昇した。
50年前よりもさらに、1950年の2リーグ制移行後までさかのぼると阪神が優勝しても株価が下がった年はある(1962、64年)。だが、いずれも下落幅は小さい。今年も阪神が今の勢いを続ければ、好調な株価の追い風となるかもしれない。
(Aera.dot編集部 池田正史)
※AERA dot.より転載