どの指標の理解にも
決算書読解術が前提

 資本コストとは、銀行から借りたお金に対する利息の支払いや株主に対する配当の支払い、あるいは、株主からの「株価を上昇させよ」という期待に応えるためのコストのことだ。言い換えれば、企業側にとっては“コスト”となるが、資金の出し手にとっては企業に対して求める“期待リターン”となる。

 金融庁と東京証券取引所が策定に関わり、企業統治のガイドラインとして全上場企業に適用される「コーポレートガバナンス・コード」というものがある。そのコードが改定されるたびに、「企業はもっと資本コストを意識せよ」という調子を強めている。つまり、「企業は単純に利益をあげればいいわけではない。せめてお金の出し手が期待するリターンを上回ろうね」と言いたいわけだ。

 昨今、企業が迫られているPBR改善のように、今後は資本コストのコントロールと、資本コストを上回る利益を迫られる企業が増えるだろう。となれば、ビジネス面でも株式投資の面でも大きな影響を与えそうだ。今のうちに、概要だけでも知っておいた方がいい。

 そしてROE、PBR、資本コストといった重要指標理解の前提となるのが、決算書に含まれる財務3表の読解術だ。

 そう聞くと「え!?そんなあ、決算書の基本すら理解していないのに……」と、不安になるかもしれない。

 しかし、安心してほしい。実は、決算書の理解は非常に易しいのだ。

 まず、簿記の用語や難しい数式の暗記は一切不要だ。決算書の基本である損益計算書(PL)なら五つの利益、貸借対照表(BS)なら五つの箱など、最低限の項目の理解で十分。ROEやPBRも「ざっくりこういうことだ」と大枠を押さえれば、困ることはない。

 少しでも読み解けるようになると、「決算書は無味乾燥な書類ではなく、企業の汗と涙のドラマの集合体」だと気付くはずだ。