誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる。Voicy精神科医Tomyきょうのひとことの“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】自分を正当化する人が不幸になる深いワケPhoto: Adobe Stock

自分を正当化するワケ

アナタは、無意識に自分を正当化することはありませんか? もしくは、アナタのまわりに、そういう人はいませんか?

なにかストレスや苦痛を感じたとき、不安をやわらげるために、無意識に自分を守ろうとする。これを心理学の用語で「防衛機制」といいます。

目の前の現実をそのまま認めると、自分の心や精神が保てない。モヤモヤするような心の葛藤が生じるとき、防衛機制で自分を正当化することがあるんですね。

幼い子が好きな子に
意地悪するワケ

幼稚園児や小学生が、気になる子に意地悪をして、自分に気を引かせようとすることがありますよね?

「その子が好き」という自分の気持ちをそのまま認めると、心の葛藤が生じる。本当はかまってほしいのに、つい意地悪をしてしまう。これも防衛機制の例なんです。

ブドウがとれない
キツネはどうしたか?

イソップ寓話に「キツネとブドウのふさ」という“酸っぱいブドウ”の話があります。キツネが木にぶら下がるブドウをとって食べたいのですが、何度飛び上がっても届かない。

そこでキツネがどうしたかというと、本当はブドウを食べたいのに、「あのブドウは酸っぱいから食べなくてもいい」といって、その場を去ってしまうのです。

防衛機制の例として、よく使われる寓話ですが、ブドウを食べられなかった自分を正当化したいから、「あのブドウは酸っぱい」と決めつけることによって、自分の気持ちを落ち着かせているのですね。

自分を正当化すると
見失ってしまうこと

このキツネのように、自分を正当化して、心の折り合いをつけようとする人が、現実にけっこういるわけです。

要は、負け惜しみなのですが、その場の感情は一時的にしのげる。自分のプライドが守られるし、後悔しなくて済むのですが、根本的には解決していない

「あのブドウは酸っぱいから食べなくてもいい」と自分を正当化してしまったら、「どうしたらブドウを食べられるだろうか」という創意工夫のチャンスを失ってしまいます。

クセにならないように

自分を正当化して、その場をしのごうとすることに、いったん味をしめると、それがクセになりがちでもあります。いちばん安易でラクな手段ですから。

自分ではどうしようもないことを諦めるとき、防衛機制であることをわかったうえで、自分を正当化することはあっていいでしょう。

しかし、ことあるごとに自分を正当化して、現実から目を背けていると、いろんなチャンスを失ってしまいます。

自分を上手に正当化する方法

自分を正当化することがあってもいいです。ただし、そのときは「いま自分は、自分を正当化しようとしているな」と自覚することが大前提です。

どうしようもないこと、どうしようもない過去からの執着心を消すために、あえて自分を正当化する。防衛機制は、そういう使い方をしてみてください。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。