誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる。Voicy「精神科医Tomyきょうのひとこと」の“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
自分を正当化するワケ
アナタは、無意識に自分を正当化することはありませんか? もしくは、アナタのまわりに、そういう人はいませんか?
なにかストレスや苦痛を感じたとき、不安をやわらげるために、無意識に自分を守ろうとする。これを心理学の用語で「防衛機制」といいます。
目の前の現実をそのまま認めると、自分の心や精神が保てない。モヤモヤするような心の葛藤が生じるとき、防衛機制で自分を正当化することがあるんですね。
幼い子が好きな子に
意地悪するワケ
幼稚園児や小学生が、気になる子に意地悪をして、自分に気を引かせようとすることがありますよね?
「その子が好き」という自分の気持ちをそのまま認めると、心の葛藤が生じる。本当はかまってほしいのに、つい意地悪をしてしまう。これも防衛機制の例なんです。
ブドウがとれない
キツネはどうしたか?
イソップ寓話に「キツネとブドウのふさ」という“酸っぱいブドウ”の話があります。キツネが木にぶら下がるブドウをとって食べたいのですが、何度飛び上がっても届かない。
そこでキツネがどうしたかというと、本当はブドウを食べたいのに、「あのブドウは酸っぱいから食べなくてもいい」といって、その場を去ってしまうのです。
防衛機制の例として、よく使われる寓話ですが、ブドウを食べられなかった自分を正当化したいから、「あのブドウは酸っぱい」と決めつけることによって、自分の気持ちを落ち着かせているのですね。
自分を正当化すると
見失ってしまうこと
このキツネのように、自分を正当化して、心の折り合いをつけようとする人が、現実にけっこういるわけです。
要は、負け惜しみなのですが、その場の感情は一時的にしのげる。自分のプライドが守られるし、後悔しなくて済むのですが、根本的には解決していない。
「あのブドウは酸っぱいから食べなくてもいい」と自分を正当化してしまったら、「どうしたらブドウを食べられるだろうか」という創意工夫のチャンスを失ってしまいます。
クセにならないように
自分を正当化して、その場をしのごうとすることに、いったん味をしめると、それがクセになりがちでもあります。いちばん安易でラクな手段ですから。
自分ではどうしようもないことを諦めるとき、防衛機制であることをわかったうえで、自分を正当化することはあっていいでしょう。
しかし、ことあるごとに自分を正当化して、現実から目を背けていると、いろんなチャンスを失ってしまいます。
自分を上手に正当化する方法
自分を正当化することがあってもいいです。ただし、そのときは「いま自分は、自分を正当化しようとしているな」と自覚することが大前提です。
どうしようもないこと、どうしようもない過去からの執着心を消すために、あえて自分を正当化する。防衛機制は、そういう使い方をしてみてください。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。