「コロナで医療収入も減ったので、結局節税になりましたが、マンション投資も含めたトータルで考えると損したなというのが感想です」
佐藤さんは、赤字の補填をし続けていることを不安に思い、我々の会社に相談に来ました。そして、もしこの物件を売却した場合の査定結果にがくぜんとします。
2020年に1室2500万円の物件を計3室、合計7500万円で購入。諸経費を含めた支払額は8000万円弱でした。佐藤さんはこれを全額ローンで購入しました。
しかし、現在の相場で売却した場合の値段は1室につき2000万円。つまり、1室につき700万円近くの赤字になります。もちろん、借り入れがほぼまるまる残っているので、売却金額が残債を下回る、いわゆる『オーバーローン』状態です。
佐藤さんは、昨今の不動産価格の上昇でこのマンションも上昇しているのかと思っていたのですが、さにあらず。詳細を調べると、たしかに土地の価格は上昇していますが、最近の不動産価格の上昇の恩恵にあずかれず、売却したくてもできない状況に陥っていることがわかったのです。
また、賃料相場を調べてみると、佐藤さんがサブリース会社から受け取る家賃は8万円でしたが、実際は借主からサブリース会社が10万円の賃料をとっていることが分かりました。2万円の収益減です。
サブリース会社に聞いたところ「そういうものなので仕方ないですよ」と言われてしまい、それ以来営業マンから電話はかかってきません。
現状では年間の赤字補填額は120万円。一方で売却できたとしても1室につき700万円の損。どちらにも進むことができない状況です。
さらに追い打ちをかけるのが消費税です。佐藤さんは消費税の課税事業者だったため、マンションを売却した場合、消費税が10%かかります。つまり、一室につき200万円、3室で計600万円も追加でかかるというわけです。ただでさえ「損切り」なのに、プラス600万円の消費税がかかるということで、売却をストップすることにしました。