楽天 解体寸前#2

楽天グループの携帯子会社である楽天モバイルがKDDI回線のローミングを延長した。楽天は、KDDIの回線が利用できることで「最強のプラン」をアピールしているが、通信品質はKDDIのネットワークとは乖離しているのが実態だ。その裏で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手通信3社が事務手数料の値上げに乗り出して、通信料の実質値上げにも手を付け始めている。もはや苦境の楽天を相手にはせず、複雑な料金プランで顧客を置き去りにする通信業界の“悪弊”が再び顕在化している。特集『楽天 解体寸前』の#2では、楽天の救世主となったKDDIローミングの誤算に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

三木谷氏がKDDI依存を強める理由とは
基地局整備の計画を撤回する楽天

「KDDIのローミング費用は高い——」

 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、携帯電話子会社の楽天モバイルが2019年10月の事業開始から利用してきたKDDIローミングについて、そう繰り返しこぼしてきた。

 しかし、三木谷氏はこの本音とは裏腹の決断をせざるを得なかった。この4月に楽天はKDDIと新たなローミング協定を締結し、ローミングのカバー領域の拡大と延長を決めたのだ。

 6月から早速、KDDIローミングの5ギガバイト(GB)の容量制限を撤廃した新料金プラン「Rakuten最強プラン」をスタートさせた。このプランの特徴は、最大2980円という楽天モバイルの月額料金を据え置いたまま、KDDIローミングのデータ通信を全国で制限なく使えることにある。こうして楽天は、KDDIのネットワークに全面的に依存することになった。

 巨額赤字に苦しむ楽天モバイルにとって、KDDIローミングにかかる費用は大きな赤字要因になっている。本来ならば、一刻も早くKDDIへの依存体質から脱却するのが財務改善への近道のはずだ。

 それにもかかわらず、KDDIローミングにすがる決断をしたのはなぜなのか。

 次ページでは、三木谷氏が、従来の基地局整備の計画を撤回してまで、KDDI依存を強める理由を明らかにする。

 さらに、楽天が窮地にあえぐこのタイミングで、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクが実質的な値上げに踏み切ろうとする動きがある。楽天の携帯電話事業への参入で期待された「通信業界の料金競争」の行方についても大胆に予測する。