楽天グループの携帯電話子会社、楽天モバイルの黒字化の見通しが立たない。コスト構造を転換しながら契約回線数を伸ばそうとしているが、黒字化するには5年もの時間が必要な計算だ。だが、もはや楽天には、そこまで時間をかける猶予はない。特集『楽天 解体寸前』の#6では「楽天モバイル立て直し」の難題に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令ニ)
三木谷氏が23年の単月黒字化を断念
視界不良のモバイル立て直し
「モバイル事業単体での2023年中の単月黒字化は困難」
楽天グループは5月12日の決算で、三木谷浩史会長兼社長が公言してきた「23年中の単月黒字化」の計画をあっさり放棄した。
三木谷氏は同日午前に、KDDIローミングのデータ通信を無制限で使える新料金プラン「Rakuten最強プラン」の発表で記者会見し、同日午後には決算説明会でオンライン会見を行った。
そうした“機会”があったにもかかわらず、三木谷氏自身が「公約撤回」に触れることはなかった。この重要な発表は、決算短信にひっそりと記載されていただけである。
まるで後ろめたさから逃げるような不意打ちの情報開示は、携帯電話事業の厳しさを物語っている。そして今なお、楽天からは黒字化の時期は示されていない。
では、実際には楽天の携帯電話事業の黒字化はいつになるのだろうか。ダイヤモンド編集部は「最低でも5年」との試算結果を導き出した。
次ページでは、携帯電話事業の黒字化に要する期間が5年といえる根拠を示すとともに、黒字化達成までの「壮絶なシナリオ」を解説していこう。