楽天 解体寸前#1写真:つのだよしお/アフロ

楽天グループが創業以来の最大の危機に陥っている。元凶は携帯電話事業の巨額赤字で、危機脱却を狙ってグループ総帥の三木谷浩史会長兼社長が驚愕の一手に乗り出した。それが楽天内部で始動した「法人100万回線」獲得計画である。携帯回線契約の拡大に向けて、楽天市場や楽天カードなどのグループ社員を総動員して取引先に攻勢をかけるというものだ。特集『楽天 解体寸前』の#1では、ダイヤモンド編集部が入手した内部文書と関係者の証言を基に、その全容を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

楽天グループ社員への“ノルマ強要”第二弾
「法人契約獲得計画」の内部資料を入手!

 東京都世田谷区にある楽天グループ本社ビル4階の大ホールは、全体朝礼「朝会」を開催する会場だ。朝会は、グループ内部の意思統一を図る重要な会合である。

 楽天グループは毎週月曜日、子会社の楽天モバイルは毎週火曜日、それぞれ1時間ほどの朝会を開く。コロナ禍では、出席者を一部の役職者に絞って全社員にオンラインで中継していたが、今年に入って「RTO(リターン・トゥ・オフィス)」を進めて本社社員の全員が集合する“リアル会合”の形に戻した。

 恒例のストレッチ体操の後、ここ数週間にわたって三木谷浩史会長兼社長がスピーチで強調する「一つのテーマ」がある。

「最強プランはまさに最強だ。KDDIのローミング費用は高いが、強力に推進して契約を伸ばしていかなければならない」

 これは楽天モバイルが6月1日から導入したKDDIローミング回線の容量制限を撤廃した新料金プラン「Rakuten最強プラン」のことを指す。

 社内公用語が英語の楽天では、三木谷氏は英語でスピーチをしているが、「サイキョープラン」は日本語のまま連呼している。ここで必ず「KDDIのローミング費用は高くつくが」と強調することで、「それと引き換えに必ず携帯電話の契約者を増やすのだ」という強いメッセージが危機感と共に社員に伝わっている。

 楽天の喫緊の課題は、携帯電話の契約者をいかに増やせるのかという一点に集約されている。年初まで朝会での話題の中心は、楽天グループ社員に1人5回線の携帯電話の契約のノルマを課した「紹介プログラム」だった。

 だが、2022年11月から23年1月末の3カ月にわたって実施した契約ノルマの成果は芳しくない。楽天モバイルの契約者は、22年9月末の454万件から同12月末に446万件に減少し、23年3月末には454万件にようやく回復した。グループ社員に過大なノルマを強要した割には、その効果は乏しかったと言わざるを得ない。

 それにもかかわらず、楽天ではノルマ強要の「第二弾」が実行されようとしている。それが、法人向け携帯サービス「楽天モバイル法人プラン」の推進施策である。

 この法人プランは、奇しくも“1人5回線のノルマ”終了のタイミングと重なる1月30日にスタート。5月頃から法人営業の推進体制の整備が本格化してきた。

 題して「楽天モバイル法人契約100万契約獲得プロジェクト」。楽天市場、楽天トラベル、楽天カードなどグループ内の事業部門を巻き込み、それらの取引先に営業攻勢をかけて携帯電話の契約を獲得するというもので、その営業手法は驚くほど強引なものだ。

 ダイヤモンド編集部は、この法人獲得プロジェクトの詳細について記された内部資料を入手した。次ページでは、契約者の飛躍的拡大とは程遠い「無謀な計画」の中身を明らかにする。