「いいもの」や「ポジティブな側面」に
意識を集中させることが大切
感謝が感謝を生み、どんどん広がっていくと書きましたが、これは、感謝する気持ちには、感謝を伝播し、それをどんどん拡張・拡散させていこうとする特性があるからです。
そもそも、ある人が感謝するとき、その人は自分を取り巻く世界のなかで、「いいもの」や「ポジティブな側面」に意識を集中させています。
脳が積極的に、「いいもの」「ポジティブな側面」を探そうと一生懸命働いているのです。
そして、「いいもの」や「ポジティブな側面」を見つけると、それを感謝の気持ちへと昇華させますが、その結果として、大きな幸福感(満足感と心の安定)を得られます。
そればかりではありません。
さらに、感謝することを習慣にすれば、集中力が持続され、「いいもの」や「ポジティブな側面」の新たな発見が続き、ますます幸福感が高まっていきます。
感謝力の高い人の脳の中には、そんなサイクルが、しっかりとでき上がっているのです。
感謝がもたらす効果がすばらしいのは、その効果が個人にとどまらないことです。感謝は感謝する側と感謝される側の相互作用であり、まるで池に小石を投げ込んだときにできる波紋のようにまわりに広がっていきます。
これは聞いた話ですが、ある会場の女性用の化粧室でのこと。多くの人が列をなして待っている状態で、少しイライラする人もいるなか、順番が来た和服の女性が「お先に」とうしろの人にひとこと言葉をかけて進んだところ、次の人もその次の人も「お先に」といってから進むようになり、穏やかな雰囲気が漂ったというのです。