この数字をテレワークの実施率と比較してみよう。東京都は都内の従業員30人以上の企業を対象に「テレワーク実施率調査結果」を毎月公表している。それによると、23年2月には51%の企業がテレワークを実施しているという。その企業の中で実際にテレワークをした社員の割合は39%(全体の20%)だ。
別途、労働者に週に何回テレワークをしているかも聞いていて、43%が週に3回以上テレワークをしている。これらの情報を用いて従業員1人当たり、1日当たりのテレワーク実施率を算出すると10%となる。多くの従業員が相応の頻度でテレワークをしているものの、ならせば10%程度だ。
統計間の差異があるため、鉄道旅客数のコロナ前の15%前後の減少と、テレワークの増加の10%の間の差異には誤差もありそうだが、通勤以外の鉄道利用が減っていることなども影響しているといえそうだ。通勤のみならず、出張や対面での営業活動、レジャーでの外出が減っているのかもしれない。
ここでは確報の数字を用いた影響で23年2月の数字を紹介した。そのため、5月にコロナの法的な取り扱いが変わった後の、経済活動の本格的な再開が反映されているとはいえない。これらの数字の最新の動向に着目しつつ、アフターコロナがどのような社会になるのかに注目したい。
(東京大学公共政策大学院 教授 川口大司)