Z世代はリスクを避けたい

 カフェ・グルメ部門では、「クラブっぽ居酒屋」や「イギリス風カフェ」など、「○○風」「○○っぽい」という表現が目立ちます。

生の声「本当のクラブは怖いイメージがあるので行く勇気がないけれど、クラブの雰囲気を味わってみたい」
生の声「都内のハイブランドホテルよりも気軽な気持ちでヌン活したい」

 安全圏となるコミュニティを持つようになったとはいえ、それ以外の周囲の目を完全にシャットアウトするようになったわけではありません。

 Z世代は周りの目やコミュニティの調和を重視するため、周りからの見え方において「失敗したくない」という意識が根強くあり、様々な行動において慎重な姿勢を取る傾向があります(SNSでゆるく繋がり続けることが当たり前であるZ世代にとって、このような消費行動は自然に行われることであるため、全くなくなることはないでしょう)。

 少し背伸びして行くような場所に憧れがあるものの、段階を踏まずいきなり本場にデビューするのはその場の勝手も分からず空気を壊してしまうかもしれない、というリスクもあり、心理的なハードルも高いことが懸念されます。

 だからこそ、心理的なハードルが低い“下位互換”の場所で、頑張りすぎず、等身大の自分で楽しめる環境を求めています。「周りを気にしすぎずに生きたいけど、失敗は絶対したくない!」という彼らの複雑な心境が、等身大でいられるフィールドを選ぶことに繋がっているのではないでしょうか。

 少し話が逸れますが、Z世代は、「事前に確認できないこと」「その場に行かないと分からないこと」はリスクと捉えがちです。「その場に行かないと何が体験できるか分からない」という状況はリスクでしかありません。そのため企業には、Z世代たちが構えずに足を運ぶことができる工夫が求められています。

 例えば、事前に情報収集することが当たり前である彼らは、より具体的で詳細な情報を事前に提供してもらうことを求めています。その場に行って失敗することや、期待外れになることを避けたいためです。

 飲食店でいうと、店内の内装やメニューなど、どんな写真が撮れるかだけでなく、営業日や住所、メニューの価格や決済手段、待ち時間などが求められており、その情報の具体性が高ければ高いほど来店のハードルが下がります。彼らの心理的ハードルを解消できるような解像度の高い情報の提供をしていくことは、非常に重要です。