子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

英語が話せる=グローバルではない

 グローバル化、と言いますが、グローバル化とはそもそもどういうことなのでしょうか?

 日本人の多くは「グローバル化」=「英語習得」と思い込んでいますが、英語が話せればグローバル人材になれるわけではありません。

 たとえば、アメリカ人は誰もが英語を話せます。しかしアメリカ人の誰もがグローバル感覚を持っているかというと、答えは「ノー」です。

 アメリカで生まれ育ち、英語を流暢に話す人でも、異文化や異人種への偏見を持つ人はたくさんいます。

 グローバル感覚とは、国籍、文化、価値観、宗教の違いなどにかかわらず、あらゆる人々がお互いを尊重し合う、多様性を尊重する意識であり、態度です。

 人間に上下優劣はない。自分の文化を大切にするのと同じように他者の文化も尊重する。そんな態度を身につけるには、実際に外国人と友だちになり、信頼関係を築き、多くを語り合う経験が必要です。

 国際交流・異文化交流と聞くと身構えてしまう人が多いですが、グローバル化が進んだおかげで、外国人と気楽に交流ができる機会が増えました。

 市町村が行なうもの、個人で行なうもの、企業が行なうもの。あちこちで国際交流が盛んです。

 ティーンエイジャー時代に外国人の友だちを持った子どもは「人間はみな同じだ!」という偏見のない価値観を身につけることができます。

 今は日本中のどの市町村にも外国人が暮らしています。勇気を持って地域に住む外国人と交流を持つことから始めてみましょう。

 ただし、子どもに「外国人の友だちをつくりなさい!」と言っても無理ですから、最初は親子で国際交流に参加してみるのがおすすめです。

 多くの市町村には、姉妹都市との交流プログラムや海外の学校との交流プログラムがあります。

 市町村の国際交流センターを訪れて、どんな国際交流団体やイベントがあるのか調べてみましょう。

 地域に住む外国人と交流する場を設けている自治体もたくさんあります。

 たとえば横浜市は「横浜市国際交流ラウンジ」と呼ばれる外国人支援、国際交流施設を市内に複数設けており、子どもから大人まで、地域に住む外国人と交流できる各種イベントを行なっています。

 勇気を出してイベントや交流会に参加してみると、ハードルが高いと思っていた外国人がグンと身近に感じられるようになります。