“墓地”と聞くと、薄暗く、寂しい場所を思い浮かべる人も多いだろう。しかし近年人気を集めている「樹木葬墓地」は、かつてのイメージとは異なる空気が漂っているという。樹木葬とは一体どのような墓なのか、そしてなぜ購入者が増えているのか。最新のお墓事情に迫る――。(清談社 真島加代)
購入者数が一般墓を超えた
継承者不要のお墓・樹木葬とは
寺院墓地や霊園には、「○○家之墓」と刻まれた細長い墓石が並ぶ。一般墓と呼ばれるそれらの墓は、墓石の下にある空間(カロート)に先祖代々の骨壷を納め、家族は墓参りをする際に、掃除をしながら墓守をするのが通例だった。しかし近年、一般墓ではなく「樹木葬」という墓を購入する人々が増えているという。
「『樹木葬』は、家庭の事情で、霊園や寺院が管理を担う跡継ぎ不要のお墓が多くあります。“自然に還る”のがコンセプトで、遺骨は土の中に埋葬して、その周りに樹木や草木を植えるのが特徴です」
そう話すのは、お墓や葬儀、相続など“終活”に関するサービスや情報を提供している鎌倉新書のお墓・仏壇事業部部長の太島悠輔氏。同社が運営しているポータルサイト「いいお墓」が毎年行っている「お墓の消費者全国実態調査」によると、2022年に新たにお墓を購入した人が樹木葬を選んだ割合は、51.8%と過半数を超えたという。
「樹木葬に、明確な定義はありません。主流は、土の中に遺骨を埋め、その周りに草木や樹木を植えて墓石プレートを設置する『庭園タイプ』と、山の土に遺骨を埋葬し、墓標代わりにシンボルツリーを植える『里山タイプ』の2種類。広いスペースが確保できない都市部の霊園は庭園タイプ、郊外は里山タイプが多いなど、地域によって違いがあります」