価格や華やかさが魅力の樹木葬
ただし注意点も
購入者が過半数を超えた今、樹木葬は次世代の“一般墓”と言っても過言ではない。そんな樹木葬には「継承者不要以外にもメリットがある」と太島氏。
「一般墓より費用が抑えられる点も、樹木葬の特徴です。一般墓の価格は、2022年の調査で1基平均152.4万円かかるのに対し、樹木葬は1基平均69.6万円。ほかの人の遺骨と一緒に埋葬する『合祀墓タイプ』の樹木葬なら、5万~20万円で購入できます。お墓の費用を抑えたい場合も、樹木葬が候補に挙がりますね」
そのほか、樹木葬墓地は春になると霊園内の木々や草花が色づき、一般墓地とはまったく異なる趣があるのも魅力の一つだ。ただし、秋冬は草木が枯れてしまうと、寂しい印象になるので注意が必要とのこと。
「樹木葬の注意点は季節のギャップだけではありません。実際に納骨する際は、遺骨を砕いてパウダー状にしてから、土に還る素材の骨袋や骨壷に入れて土の中に埋葬するケースもあります。樹木葬を希望するご本人のお子さんに埋葬方法を説明すると『両親の遺骨が粉末になるのは見たくない』と、抵抗感を抱いて、反対される可能性もあるのです。また、契約内容によっては、13回忌を過ぎると共同墓に移され、不特定多数の故人と一緒に祀(まつ)られる合祀プランもあります。その情報がご遺族に共有されていないと、気づかないうちにお墓がなくなり、ショックを受けてしまうリスクもゼロではありません」
樹木葬は入る予定の人が自ら購入するケースがほとんど。それゆえ、購入者が亡くなったあとに、遺族との認識のズレからトラブルに発展する可能性もあるという。そうした事態を未然に防ぐためにも、購入前の家族会議は必須なのだ。
「たとえ、遺族に迷惑をかけたくなくても、残されるご遺族は『お墓参りをしたい』と考えているかもしれません。生前にご夫婦で入れる樹木葬を購入し、どちらかが先立たれた場合でも、月に1回、多くて毎週お墓参りに行く、という話もあります。たとえ継承者不要のお墓を購入して、実際に納骨をしたとしても、一切お墓参りをしなくなるわけではないようです」