不動産会社による
新築物件の「値付けの癖」とは?
その癖とは「眺望がいい部屋を高くする」「高層階のプレミアムフロアを高くする」「最低価格を下げて、広告用の『客寄せパンダ住戸』にする」などだ。とはいえ、中古になったら一部の住戸しか売り出されないので、新築時のこうした価格差が見えづらくなることも多い。
だが実は、中古物件でも新築と同様に、住戸ごとに適正価格を算定できる。新築時の価格表と、同じマンションの中古物件の売り出し・成約価格を結び付ければいいのだ。
そして前出の「住まいサーフィン」では、この仕組みを基に独自のアルゴリズムを構築。システム上に「マンション名」と「号室」を入力すれば、ユーザーが買いたい住戸の適正価格が分かるようにしている(「沖式マンション自宅査定」)。
このシステムの使い方はいろいろある。中古購入時に適正価格を知りたい場合や、既に購入した人が将来を見据えて売却価格を知りたい場合などでも使える。
筆者はマンション購入者に対して、毎年1回はこの時価を査定しておくように伝えている。自分の含み益を認識しておいてほしいからだ。自宅を売ればいくらキャッシュが生まれるかは「隠れ預貯金」に相当する。
そして、このシステムの累計利用回数は23万件を超えている。あまりに利用件数が多いのでユーザーの内訳を調べたら、不動産仲介業者に業務で使われていたことが判明した。もともと個人の利用を想定していたので、現在は「1日1回まで」と制限を加えているが、「業者お墨付きの優れもの」といえるかもしれない。
物件価格に話を戻すと、冒頭の質問に答える上では、次の2要素を知っておくことも重要になる。
・そのマンションの価格は、毎年何%下がるのか
・今後のマンション相場はどのように変わるか
このうち前者(マンション価格の下落率)は5つの法則で決まってくる。下落率には「ファミリータイプは下がりにくい」「シングルタイプは下がりやすい」といった法則性があり、他にも「立地要件(駅・徒歩分数)の良さ」「総戸数の多さ」「タワーマンションか否か」が資産価値を大きく左右する。
なお、都区部(東京23区)における下落率の平均値は年間1.2%だ。他地域の年間下落率は横浜市が2.2%、千葉市は2.8%といった具合だ。一方で、マンションの中心地である東京都港区には、下落率が「ほぼ0%」と下がらない場所もある。
もし、あなたが買いたい物件の価格が年1%下落するなら、5年後には5%下落することになるので注意が必要だ。