塩野義製薬“高すぎ”売上高目標はムチャ寸前…「手代木マジック」が生んだ過信と慢心
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 一部の“与党メディア”によると、「手代木マジック、再び」なのだそうだ。塩野義製薬が6月1日に、自信たっぷりに発表した30年度までの新しい中期経営計画「STS2030 Revision」。韓国の人気アイドルグループが放つニューアルバムのようなネーミングである点はさておき、最終年度の売上高目標を3年前の中計目標数値より2000億円上積みして、8000億円へと引き上げた。早期退職の実施もしれっと追加した。

 成長をもたらすドライバーとして、人員の適正化をベースに新計画は3つを挙げた。開発パイプラインに並んでいる10個の新薬の上市・拡大と、新型コロナウイルス感染症の流行が今後も続くことを前提とした経口治療薬「ゾコーバ」並びにゾコーバ後継薬の市場浸透、そしてヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療薬関連ビジネスのアップデートだ。

 今後7年半の間に、2ケタに上る新規化合物をドロップさせることなく承認取得まで持っていく目算とは何とも強気に出たものだが、その姿勢は研究開発部門のみならず、営業部門が一翼を担う「ゾコーバ」絡みの皮算用にも通底する。こちらも、東南アジアや欧米への展開を通じて、「グローバル標準治療薬としてのポジションの確立」をめざすと大きく出ている。