ジープはコンパクトモデルのレネゲード4xeで初めて電動化に挑戦した。ラングラーは同じ“4xe”を名乗るものの、システムはエンジン横置きのレネゲードとはまったくの別物。同時期にPHEV化されたグランドチェロキー4xeと同様のエンジン縦置+2モーターシステムを採用した。
2L直4ターボエンジンに内蔵されたP1モーター(63ps/54Nm)はエンジン始動と発電用。8速ATの前に搭載されるP2モーター(145ps/255Nm)が駆動を担う。駆動用バッテリー容量は15.46kWh。EV走行可能距離はWLTCモードで最大42kmと、そう長くはない。とはいえ、このトラディショナル4WDがEV走行するところに意義があるように思える。
4xeは、ラングラーの中でもとくに優れた悪路走破性を誇る“ルビコン”を名乗る。電動化のための各種システムを搭載しても200mmの最低地上高やアプローチ&デパーチャーアングルへの影響はなく、重量が増しても内燃エンジン車と変わらない走破性を実現していることをアピールする狙いがあるようだ。もちろん、モーター駆動が生み出すリニアな走りはオフロードでもコントロール性に優れ、一段と扱いやすいことが期待できる。
持ち前のワイルドさをそのままに、
スムーズ&パワフルなモーター走行を実現
実車を見ると、ボディカラーが専用色であることと、4xeを示すバッジ類、そして内外装の各部に配したブルーのアクセントが印象的。だが、それ以外は既存のラングラーとの違いはない。スタイリングは、あくまでワイルド。正直、環境に寄り添ったクルマのイメージは薄い。
このあたりはあえてラングラーの世界観を損なうことがないようにという開発陣の思いだろう。とはいえ、まるっきり雰囲気が変わらないからこそ、システムを起動しても“READY”の文字がメーターパネルに表示されるだけでエンジンがかからず、そのままドライブレンジに入れてブレーキから足を離すとしずしずと走り出すさまは、新鮮だった。PHEVだから当たり前なのだが、少し驚いたのは確かだ。
この車体でこんなゴツいタイヤを履いているのだから、ロードノイズをはじめ車外から入ってくる音はそれなりにある。それゆえにP1モーターの巧みな制御もあって、注意していないとエンジンがいつ始動して停止したのか意識させられることはない。