PHEVは
左ハンドルのみ
パフォーマンスは力強い。エンジンだけでも最高出力が272ps、最大トルクが400Nmと高いスペックを誇るのだから、踏み込んでエンジンとモーターが共演したときの加速はなかなか迫力がある。走行モードは、HYBRID/ELECTRIC/e-SAVEの3種。HYBRIDモード時は自動的に最高効率の走行方法が適用され、ELECTRICモードはモーターで走る。e-SAVEモードはバッテリー容量をキープし、SOC(バッテリー充電率)が約95%に達するまでは積極的にエンジンを動かして充電する。さらにマックスレジェネレーションをONにすると回生が強まり、いわゆるワンペダルドライブ的な運転感覚が味わえる。この状態は、感覚的にひとクセあるもののアクセルワークで減速の加減を操れる。慣れると4xeならではと感じる。
今回は本格オフロード走行にはトライしていない。それでも起伏のある砂利道を軽く走ってみただけでも、いかにも扱いやすそうな感覚が伝わってきた。なにしろルビコンを名乗るこのクルマは、前後にロッキングディファレンシャルを搭載する世界初のPHEVモデルである。そして独自の装備として、極悪路などでサスペンションのストロークを任意に拡大できる電子制御式フロントスウェイバー・ディスコネクトシステムを搭載している。
駆動用バッテリーはリアシートの下に搭載。居住空間への影響はなく、背もたれを前倒しして積載スペースを最大で約2000Lまで拡大できる点も内燃エンジン車と同じ。後席はダブルフォールディング式に変更されたが、荷室段差が大きくなったような様子はない。
充電はAC200Vの普通充電専用で、充電口は左フロントフェンダーのドアミラー近くに配されている。せっかくPHEVになったのなら、外部給電機能ができればアウトドアユースなどで、なおよかったと思う。それは今後に期待することにしよう。
ところで、これまで日本仕様のJL型ラングラーはすべて右ハンドルだった。しかしPHEVは左ハンドルのみ。絶好の視界もあって、左ハンドルでも運転しづらい印象はないが、それでも注意が必要だ。
ラングラーにPHEVという仕様は不似合いな気もしたのだが、試乗後は“大いにあり”と実感した。価格は1000万円の大台を超えたが、こういうラングラーを待っていたファンは少なくないだろう。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)