専門家たちは、このような研究はオリーブ油と認知症による死亡リスクとの関連を示したに過ぎず、両者の因果関係が証明されてはいないとして、慎重な解釈を求めている。それでも、本研究には関与していない、米国栄養士会の元会長で、米セントルイスを拠点に活動する栄養コンサルタントであるConnie Diekman氏は、オリーブ油に豊富に含まれているオメガ3脂肪酸には抗炎症作用があることを指摘し、「認知症の発症プロセスには炎症が関与すると考えられているため、オリーブ油の常食が有益に働く可能性は十分にある」との見方を示す。

 Tessier氏は、「過去の研究では、オリーブ油を多く含む食事の摂取は、血圧、コレステロール、血管機能などの改善につながり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが低下することが示唆されている」と説明する。しかし同氏は、「今回の研究で確認されたオリーブ油と認知症による死亡リスクの低下との関連は、心血管系の健康からは説明できない」と述べ、オリーブ油に含まれる何らかの栄養素が認知症による死亡リスクの低下に寄与している可能性を示唆している。

少なくともマーガリンの代わりに
使うのは理にかなった行動

 この研究では、「なぜ」「どのようにして」の問いに対する答えを見出すことはできないが、「少なくとも、マーガリンをオリーブ油に置き換えて摂取するのは理にかなった行動だ」とTessier氏は言う。

 Tessier氏とDiekman氏は、一種類の食品ではなく、食生活全般に注意を払うべきだと主張する。Diekman氏は、「科学が示しているのは、植物性食品の摂取を増やし、動物性食品の摂取を減らすことにより、全体的な健康のより良い基盤が作られるということだ」と話している。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2023年7月24日)

https://consumer.healthday.com/olive-oil-2662295748.html

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