日本風力開発、贈収賄事件で”身売り”観測!買い手に浮上する「超大物3社」の実名洋上風力発電を巡る贈収賄事件を受けて、スポンサーのベインキャピタルが売却するとのうわさが出始めた日本風力開発 Photo by Ryo Horiuchi

政府が推し進める洋上風力発電事業を巡る贈収賄事件で、日本風力開発の塚脇正幸社長が、秋本真利衆議院議員への贈賄容疑を認める意向を示した。これにより、いよいよ日風開の身売りが始まるとの観測が出ている。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

グリーンバブル「最後の大物」、贈収賄事件を機に身売り?

 三井物産を退職した塚脇正幸氏が1999年に創業した日本風力開発(日風開)は国内外で風車約300基、計約57万キロワットの陸上風力発電所を開発した実績を誇る。

 2003年に東京証券取引所マザーズ市場に上場したものの、その後資金調達に苦しみ、15年に米投資ファンド、ベインキャピタルによるTOB(株式公開買い付け)で上場廃止。23年に入ってからは、「ベインが日風開の売却を模索している」とのうわさが業界関係者の間で絶えなかった。

 確かに、そのタイミングは絶好だった。ありとあらゆる企業が、脱炭素社会でのビジネスの“入場券”を確保すべく再生可能エネルギーを奪い合い、“グリーンバブル”の様相を呈しているのだ。

 石油元売り最大手のENEOSホールディングスは22年1月、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を約1910億円で買収。今年5月には、日本電信電話(NTT)の子会社NTTアノードエナジーと国内最大の発電事業者であるJERAがグリーンパワーインベストメント(GPI)を3000億円規模で買収した。

 買収額から純資産額を引いたのれん代はJREを巡る買収で約1600億円、GPIでは2700億円超に上る。いずれの大型買収も、「常軌を逸している」との声が相次いだ。そして、グリーンバブル「最後の大物」として注目されていたのが日風開だった。

 そんな中で、贈収賄事件がはじけた。塚脇氏は当初、秋本真利衆議院議員らと設立した馬主組合に提供した約3000万円について、東京地方検察庁特捜部の調べに対し賄賂性を否定していた。しかし、同特捜部による強制捜査を受けて塚脇氏は一転し、贈賄容疑を認める方針を示した。

 このニュースに接した大手エネルギー企業の幹部は「これでベインが日風開を売りに出すのは間違いない」と断言する。

 とはいえ、もはや“傷物”ともいえる日風開の買収に、名乗りを上げる企業は現れるのか。日風開は大きな“魅力”だった洋上風力発電ビジネスも失う見通しなのだ。

 政府が年内にも公募を始める洋上風力発電プロジェクトのコンペ第3弾において、日風開は青森県沖のプロジェクトで先行事業者として最有力といわれていた。しかし、今回の贈収賄事件で日風開は公募参加資格を喪失する公算が大きく、コンペ第3弾からの撤退は必至となっている。

 次ページでは、日本風力開発の買収に名乗りをあげるとうわさされる超大物3社の実名を紹介する。その3社とは、脱炭素社会でのビジネスの“入場券”を手に入れようと、再生可能エネルギーの確保に必死な超大型プレーヤーだ。いずれも豊富なキャッシュを武器に、アグレッシブな買収合戦を展開しそうだ。