女性ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

先日発表された世界経済フォーラムの男女格差報告で、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と過去最低を更新、先進国で最下位という結果になった。「多様性」が叫ばれる時代でも、なぜ日本の男女格差は埋まらないのか。「男女平等」と言いつつも、女性の活躍が一向にすすまない企業にありがちな言い訳を紐解く。本稿は羽生祥子著『SDGs、ESG経営に必須! 多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

女性だけ特別視する
必要あるの?

 中長期の視点がなく、「女性活躍がなかなか進まない」と悩んでいる企業が世の中にはたくさんあります。ダイバーシティ推進担当者は頑張って取り組んでいるのに、現場や上層部の反対の声にあって困っているという声も、本当によく聞きます。そこで、毎月多数の記事を発信している『日経xwoman』の取材を経てわかった多様性がない企業によくある言い訳を挙げたいと思います。

【言い訳トップ1】
「女性だけ特別視する必要あるの?」

 このセリフ、読者の皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?または、自分で言ったことがあるという方も少なくないと思います。さらにこのトップ1の言い訳は、実は女性自身が発言することが多いのも特徴です。具体的には、こういった内容です。

・仕事の場では、男性も女性も関係ない
・実力主義でやっているので、性別で区別する必要はない
・自分は実力で認められたのであって、女性だから認められたのではない
・女性にだけ「ゲタ」を履かせて持ち上げるのはずるい
・LGBTQと自認している人もいるのに、今どき男女比率で測るのは古い

 うーん、どれもすべて正しくて、間違ったことを言ってないような気がしますね。こんな言葉をかけられて反論や説得できずに困っている人事部の方々が目に浮かびます。しかし、この考え方こそが、世界に比して日本の女性活躍が遅れに遅れている理由なのです。

【言い訳トップ2】
「D&Iやって、経営が上向くのか?」

 この発言は、上層部がダイバーシティ推進の意義を理解しておらず、取り組みそのものがない会社でよく聞きます。または、社長など経営トップ本人はよく理解しているけれども、中間管理職など、現場に下ろしたときにささやかれる言葉です。具体的にはこんな意味の発言です。

・ダイバーシティは人権問題であって、経営戦略とは関係がない
・女性を大事にすることは重要。だが業績がよくなることはない
・コロナ禍で業績が落ちて大変なので、悪いけれどD&Iをやっている余裕はない
・社長はカッコイイ顔をしたいだけで、現場は売り上げ確保で苦労する
・利益が出て、余ったおカネがあったらD&I室を立ち上げよう