これを踏まえてセグメント別営業損益を見ると、前年同期は2社が運輸セグメントで赤字だったが、今期は全社が黒字に転換した。中でも航空需要の回復を背景に、羽田アクセスの京急は約2億円の営業赤字から約23億円の営業黒字へ、成田アクセスの京成は営業利益が約8.5億円から約42億円へ、関西空港アクセスの南海電鉄は4700万円から約21億円へと急回復した。

 またレジャーセグメントを持つ13社のうち、前年度同期に営業黒字だったのは東武、京急、阪急阪神HD(旅行・エンタテインメントセグメントの合算)、南海の4社だったが、今期は京成を除く全社が黒字に転換した。

 前年度、営業損失が最大だった相鉄HDが約18億円の営業赤字から約18億円の黒字へ、約18億円の営業赤字だった東急は約1億円の黒字となった。最大は阪急阪神HDの約133億円、続いて東武の約96億円の営業黒字だった。

東武・阪急阪神HD・近鉄が
大幅増益となった理由

 次の図は2019年度と2023年度の第1四半期のセグメント別営業利益の差分を示したものだ。

 各社ともコロナ前後で運輸セグメントの営業利益は20億~40億円ほど減少しており、不動産セグメントの増益で穴埋めできた事業者はコロナ前を上回り、そうでない事業者は下回った格好だ。

 その中で大幅に増益した阪急阪神HD(図ではセグメント変更のため「その他」に合算)は旅行需要の回復を受け、旅行セグメントの営業利益が2019年度同期の約21億円の2倍以上となる50億円、東武も旅行部門とスカイツリー事業が好調で同約5.8億円を大きく上回る約96億円の営業黒字となった。

 この他、近鉄は2022年度に近鉄エクスプレスを連結子会社化し、国際物流セグメントを新設(図中では「その他」に含まれる)。前年同期は持分法による投資利益として約68億円(同社以外も含む)の営業外利益を計上していたが、今期は約58億円の営業利益となった。昨年度第3四半期は約129億円、第4四半期は約84億円の営業利益を計上していたが、コロナ後は需要減少で落ち着きを見せている。