「夢の中ですべてのストレスが処理される」
その女性が、「夢まかせ」というフレーズを唱えてみることにします。
カウンセラーによると、このフレーズを唱えると、夢の中ですべてのストレスが処理されるしくみになっているそう。
「いやいや、こんな世界情勢なのに、夢の中でストレスが処理されてもダメでしょ」と思いながらも、不安がよぎったときにフレーズを唱えてみることにします。
フレーズを唱えていると、「誰も私が言っていることをわかってくれないんだから、夢に任せてもしかたない」と思う一方、「あれ? 私ってすべてのストレスを自分で処理しようとしている?」と不思議な気持ちになってきます。
「すべてのストレスが処理されたら、人間じゃなくなる」なんてことを思っていると、いつの間にか眠りの世界に入っていきます。
頭がすっきり、テキパキ動けるように
次の日の夜もフレーズを唱えていると、「夢を見ていないのに、どうやって夢に任せるの?」という疑問がわいてきます。
「深い眠りに入っているときの夢は覚えていないんだっけ」なんてことをグルグル考えているうちに、眠ってしまいます。
起きてみると頭が比較的スッキリしていて、ダラダラしてなかなか手をつけられなかったことも、テキパキ進められている自分にびっくりします。
夢の中で本当にすべてのストレスが処理されているから、少しずつ動きやすくなっているのかもしれない、という気がしてきます。
寝る前にフレーズを唱えていると、「無意識が、これからやってくるかもしれない危ないことに対して、夢の中でちゃんと情報を整理して対処してくれているのかも」と思えてきます。
他人の脳とつながる「脳のネットワーク」仮説
何度も唱えながら眠ってみると、「あれ? ちゃんと私の話を聞いてくれなかった人たちが災害に備え始めた」など、おもしろいことが起き始めました。
女性が一生懸命に話をしていたときは、まったく聞く耳を持ってもらえなかったのに、まるで自分たちが考えたかのように準備し始めたのです。
後日、カウンセラーにそのおもしろいしくみを教えてもらいました。
「脳科学では『人の脳は常に他人とつながって、コミュニケーションを取っている』という説があります。
私はこの仮説を『脳のネットワーク』と呼んでいるのですが、人間はこの脳のネットワークを通じて、おたがいにバランスを取り合っているのです。
たとえば、その場に焦っている人がいたら『まあまあ、そんなに焦らなくても』と周りの人が焦りをおさめようとするのは、自動的にバランスを取っているからです。
こちらがストレスを感じているとき、相手はバランスを自動的に取って、『楽観的に考えて何もしない』状態になります。
逆にこちらが夢の中でストレスを処理できるようになると、相手のほうが楽観的に考えられなくなり、ストレス解消のために動き出すのです」
そんなカウンセラーの話を聞いてから、周りの人の姿を見ると、「本当に私の夢の中ですべてのストレスが処理されているのかもしれない」と思えます。
「みんなに自分の思いが伝わらずに焦っていたときは、目を開けながら悪夢を見ていたのかもしれない」
ストレスから解放されて、人生がスムーズに動き出す
みんなのストレスを、私が悪夢の中で処理していた。私が悪夢の中でみんなのストレスを処理していたから、みんなは何も動かなかったんだ、と思うと、おもしろくなってきます。
そんなことを思ってみたら、「夢まかせ」と唱えて眠るのが楽しみになってきます。
夢の中で無意識がすべてのストレスを処理してくれる。
そして、自分にとって都合がいい現実がつくり出されていくのです。
(*本稿は『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』より一部抜粋、再編集したものです)