私の教え子に、実家が自動車修理工場を経営している女性がいます。彼女に聞くと、「小さな修理工場なので、ビッグモーターと比較にはならないけれど、保険屋さんがチェックにくるのは同じです。そして、ビッグモーターの修理代請求が平均と比べてあまりに多いことは、誰しも気付いていたはずだと思います」とのこと。
実際に2022年、損保3社で自主調査が行われていましたが、取引を再開したのは損保ジャパンだけということから、すでに前兆はあったはずなのです。調査結果をきちんと見ていれば、取引中止が当然だったはずで、今になって損保ジャパンの社長が辞任するのも当然でしょう。
この国を覆っている、「本気の人」を「空気を読まない人」として疎外していく雰囲気。本来の目的を忘れて「空気を優先する」文化の氷山の一角が、この街路樹問題に表れているように思います。
「本気でない人」が
多すぎないだろうか
「本気の人」がいなくなったため、この国は次々事件が起きています。民事不介入を理由に、ストーカーを等閑視してきた警察は、最近ようやく真剣に対応するようになったものの、深刻な被害はいまだに出続けています。近所や警察から児童虐待の通報があったにも関わらず、一旦は保護した子どもを親に騙されて児童相談所が帰宅させたため、死亡させてしまった例もあります。
いずれをとっても、「住民を救う。弱者を救う」という社会的使命や、税金で給料をもらっている公務員の立場であることを忘れた、「本気でない人」があふれ帰っているように思えるのです。
考えてみると、忖度による本気度の欠如で、大きな事件も何度か起きました。たとえば、1989年に起きたオウム真理による坂本弁護士一家拉致虐殺事件です。当時はまだオウム真理教は出来立てのカルトでしたが、危険度がかなり高い団体であることは周知の事実となっており、フリーライターの江川紹子さんを中心に、かなり厳しく糾弾しました。弁護士一家が消えたことについても、江川さんは神奈川県警に厳しく詰め寄っていましたが、県警は拉致事件とはせず、失踪事件として扱いました。