いや、関係する組織はそれだけではありません。日本の警察は交通問題、つまりは道路問題には極めて熱心です。スピード違反の検挙率を上げるためか(つまりは罰金で収入を増やすためか)、交通安全週間ともなれば、どうしても速度が出がちな場所にパトカーや警官を隠すように配置して検挙したり、間違えやすい道路標識がある場所にわざと隠れてパトカーを配置したりしているように見えます。
ここまで道路事情に詳しい交通警察が、街路樹が何本もなくなっているビッグモーターの店頭の道路に、異変を感じないわけがありません。しかし、彼らも見て見ぬふりをしていたか、住民が報告しても無視されていたのかもしれません。
世の中では「おめこぼし」が
常態化している
私はある体験から、あまり善意をもってこの問題を解釈できません。私の自宅はニュータウンにあり、道路が二車線以上と広く、高速道路のインターチェンジも近いため、自動車修理工場や自動車販売店が林立しています。そして道路沿いの自動車修理工場の一部は、外国車らしき高級車の修理を店内ではなく、道路上で堂々とやっていました。いくら二車線とはいえ、道路上で車を修理されていては、一車線しか使えず、渋滞が引き起こされていました。
知り合いの警官や物知りのタクシー運転手に聞いたのですが、警察署に付け届けをして「おめこぼし」に預かっていた工場があったらしいのです。しかしいつの頃からか、署長が交替したのか、もっと上の判断があったのか、すべて取り締まりの対象となって、路上修理がなくなったそうです。
経験上、この手のおめこぼしは、警察ではかなり常態化しています。ケースは様々ですが、「警察の柔道教室の先生をやっている人だから」といった小さな話から、「一日警察署長をやったことがあるタレントだから」という話まで、これまで多くの実例を耳にしてきました。まあ、大人の事情もあるでしょう。
しかし近頃は、その手の「おめこぼし」が、日本中にあふれているように思うのです。問題のビッグモーターの「不正請求」自体が、彼らの関係者を含めて、消費者や税金の使途に対するいい加減な態度から生まれたものであることは間違いありません。