惚れ込んだジンズの株を
粛々と売った理由
先述したジンズホールディングスへの投資も創業者に惚れ込んで始めましたが、眼鏡なんて人生のうちに何度も買うものではありませんから、販売地域を広げていくことが主な成長の手段です。ところがジンズはコロナ禍の影響で中国事業が落ち込んだ後のリカバリーが遅れて、伸び悩んでいました。そこで厳しいと判断して、あらかじめ決めた株価より下がったところで粛々と売却しています。
長期投資をするつもりがない会社の株については、より機械的に「この状態になったら売る」とルールを決めています。逆に、「この会社の株はずっと持っておいても、配当によるインカムゲインがある程度得られる」と判断した場合は株価に一喜一憂せず、一定額を定期的に購入する「ドルコスト平均法」で積み立てのように買っています。
こうした機械的なオペレーションができるようになったのは、つい最近のことです。このやり方を覚えたことで、他の意思決定についても、しっかり検討しなければならないものと、ある程度決めたルールに従って習慣化して進めていくべきものを分けて考えられるようになりました。
うまくいっていない投資やビジネスがあったときに、目をつぶってしまったり、その状況に慣れてしまったりすることが、一番よくないことです。
私はスプレッドシートで保有する株の最新の株価と購入時の投資額を比較して、上げ幅・下げ幅によって赤・黄・緑と色分けされるようにスクリプトを仕込んで、一覧で見られるようにしてあります。それが2年ほど前には、日本株はほとんどが元値より下がっていて、黄色と赤の状態でした。これが常態化すると感覚がマヒしてきます。そこであるとき「これはいけない」と一念発起し、覚悟を決めて買い続ける株とそうでないものを分け、後者は赤になったら売るというルールに戻しました。
すると、買い続ける株についても少しでも株価が下がると、ルール上「今、この状態でも再投資するか」と考えざるを得なくなります。そのことで赤銘柄だけでなく、黄色が常態化する銘柄もなくなっていき、資産保全の意味でも心理的にも、すごく良かったと思っています。