聞けば、2人組のもう1人は男性で、ずっとリモート授業をしてきた人だといいます。勤務する会社が繊維系なので、繊維に詳しい彼は研修では知識を披露して高評価を受けているそうですが、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、派遣社員などからの評判は最悪とか。彼女が謝って後始末をしてまわる有様だそうです。私は「実態を訴えるのが会社のためでもあるから」と、人事部に相談するメールの添削も手伝いました。

 コロナ世代の新入社員について、今までは肯定的な評価をしている経営評論家や人事関係者も多かったようですが、今後は全く違う対策をとるべきだと思います。

 私は2018年9月から22年3月まで、岐阜の女子大学でマスメディア論や作文など一般教養的な授業を受け持ってきました。民間企業出身、しかも元週刊誌の編集長とあって、女子大生は芸能界の話など、私に聞きたいことがたくさんあったようです。

 大学勤務をしていた期間の多くはコロナ禍の時代。ずっと対面とリモートの両方をこなしてきました。授業は対面だと三密禁止で、大人数のゼミ会などはできません。部活も禁止。それほど偏差値は高くないものの、きめ細かい教育で評価を得ていた大学としては、このままの状態で学生たちがコミュニケーション能力、規律、自己犠牲の精神を学びとれるのか、不安な時期が続いたのも事実です。

オンラインゼミ飲み会で気づいた
「女子生徒たちが何かおかしい」

 たとえば、コロナの渦中にあった時期のゼミは、12人全員が集まってのゼミ会どころか、ゼミそのものを分割して開催せざるを得ませんでした。飲み会をしたことがない学生がほとんどとあって、「オンラインゼミ飲み会」を開催したことがあります。

 いくらゼミ会といっても、ただ「PCの前にお酒を持って集まれ」と指示するのは、パワハラになりかねません。お酒をあまり飲めない子のことも考え、ノンアルコールからカクテル、強い酒までとりそろえ、つまみもいろいろアマゾンで購入して研究室に並べ、好きなものを持って帰らせ、オンラインゼミ飲み会をやったのですが……。

 まず、最初に画面に顔を出した子の髪形が少しおかしい。よく見ると、洗い髪。風呂上がりのパジャマ姿で飲み会に参加しているのです。「先生も一応、男だからね。それに、画面をスクショすれば、君のパジャマ姿を一生ネット上にさらすこともできるんだよ」。こんな注意もしなければいけません。

 もともとお互いをそんなに知らないので、会話は弾まず、自分が司会役のバーテンダーのような飲み会は、ただ飲み続けて、時折笑いが出る程度です。そのうち、普段から酒を飲み慣れていないので、酔っぱらって大声を出す子、はしゃぐ子、寝る子と、場が荒れ始めました。とどめは、ある学生のお父さんの怒声が響きわたったことでした。