実は、娘を心配する両親に画面の横で見守られている学生がたくさんいたことが、そのときわかったのです。これでは、会話が弾まないはずです。件のその子は、酒に強く、カクテルあたりから度の強いチューハイに変えて飲み始めたため、父親が怒り出したのです。
「お前、これはお前には度数が強すぎるぞ!」
「私はこれが飲みたいの。先生にもらったんだからいいじゃないの!」
マイクをオフにしないまま親子ゲンカが延々続いたので、ほうほうの体で飲み会を終わらせました。
コミュニケーションに一苦労
新入社員と先輩たちのホンネ
以降は、感染予防のため、数人ずつに分けて居酒屋に行き、リアルな飲み会をしたこともありました。しかし、他の友人と飲み会や合コンをしたことがない子ばかりで、場は盛り上がらず、当然、女性が苦手な苦い酒など飲めるようにはなりません。友達の家や合コンで少しずつお酒の美味しさを覚えるというプロセスを全く経ないまま、卒業して企業に入社して行きました。
私はそんな彼女たちが、会社でうまくコミュニケーションをとれているか心配でしたが、案の定、不安は的中しました。
今年の卒業生たちに連絡をとってみたのですが、一番多かったのが、やはり「飲み会はイヤ」という声です。
「飲み会で、どこの席に座ればいいのかわからない」
「飲み物が空になる前に次の飲み物を聞かないと『気が利かない』と言われ、その後飲み会に行くのが怖くなった」
さらには、職場についてもこんな声が……。
「周りに敬語が使えない子が多すぎる。たいてい遠隔ばかりだった子」
「仲よくしよう、深く友人として関わろうという気持ちがない子が多すぎる」
「マスク顔ばかり見てきたせいか、人の顔が覚えられない。それに、まだ半分マスクの職場もある。困ったときに相談するべき上司がマスクのせいでなかなか覚えられず、ついつい話しかけやすい人にだけ話してしまう」
「わからないときに、どの先輩に相談したらいいかわからないし、同期もそれがわからない子が多い」
「私自身もいまだに同期と敬語で話をしていますし、正直、同期とはまったく仲がよくないです。同期の間での情報交換がないので、上司のプライベート、結婚しているのかとか、子どもがいるのかなども、わからないままです」
「なんとなく許されているのか、研修飲みとか会社の行事を、新卒なのに休む子がいる。しかし、上司が注意しないので、それなら私も休みたかったと思う」