レクサスUXは想像以上に大きな進化
“BEVっていいな”と思わせる完成度

 走り出すと、徹底したノイズクリーニングによる静粛性と、滑らかな走りに感心した。まさにレクサスらしいドライブフィールに仕上がっている。150kW/300Nmのモータースペックは変わってないが、微妙なアクセルワークへの応答性が増し、踏み込んだときにパッと前に出る感覚がより力強くなっているのも好印象。とくにスポーツモードの走りは気持ちいい。アクティブサウンドコントロール(ASC)が装備されており、アグレッシブに走るとサウンドのピッチと音圧が上昇するようになっていた。

 足回りの印象もずいぶん変わっている。従来から標準のパフォーマンスダンパーやステアリングギアブレースに加えて、改良版はスポット溶接打点を20点追加しボディ剛性を強化。さらに、BEV特有の低重心パッケージが生む優れた基本性能を引き上げるために、下山のテストコースを徹底的に走り込み、ステアリングや足回りの最適化を図ったという。

 確かにハンドリングは意のままイメージ。もともと好印象の操舵感を実現していた電動パワーステアリングはさらに丁寧にチューニングされ、応答遅れのない一体感のある動きを実現していた。乗り心地もしなやかだ。従来は車両重量に対して不要な動きが出ないようにするためか、つっぱった感じになっていたところ、新型はしなやか。タイヤが路面に追従する感覚がずいぶん自然になっている。

 室内は前席優先設計。後席は狭くはないが、広いともいえない。通常モデルと比較するとフロアの高さや前席下への足入れ性がバッテリーなどの搭載で微妙に変化しているが、指摘されなければわからないレベル。その影響は小さく抑えられている。

 電動車への注目がますます高まる中、レクサスUXは想像以上に大きな進化をとげていた。さまざまなシーンで“BEVっていいな”と思わせる完成度の持ち主である。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)

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