一つ目は、相手とのやり取りのなかで、必ず「思いやりの言葉」を挟むことです。例として、残業で帰りが遅くなりそうな妻とその夫とのやり取りを見てみましょう。
「今日は下手したら終電で帰れないかも」
「え、遅すぎない?」
このケースでは、「遅すぎる」のは事実ですが、だからといって妻の仕事の効率が悪いと責めているのではなく、おそらく「遅くまで働いて身体を壊すのが心配」という意味なのでしょう。
それならばここで、「心配だから、がんばって早く帰っておいでよ」と素直に思いやりの言葉をかけることで、妻もひと踏ん張りして、仕事を早く切り上げようと思えるようになるものです。
自分の希望を伝える際には、自分の都合を押しつけるのではなく、思いやりの気持ちを挟むことで伝わり方が変わってくるはずです。
夫婦間で過剰に期待しがちな
「以心伝心」
もう一つが、相手に自分の考えをきちんと伝えることです。
夫婦間のコミュニケーションが機能しなくなる原因の一つが、相手に対して“以心伝心”を過剰に期待してしまうことです。夫婦間では、どこかパートナーに対し「言わなくても察してよ」と望んでいることがよくあるのです。
相手の気持ちがわからないのは、結局、お互いがうまく言葉をかけあっていないからです。実際のところ、言葉にしなければ、気持ちというのは正しく伝わらないものです。
たとえば、家事や育児が立て込んでいて、妻が夫に『ゴミ捨てくらい手伝ってほしい』と思ったとしましょう。ここでは素直に「ゴミ捨てお願いしてもいい?」と言えばいいものを、言わなくても自分が忙しいのを見ていれば『やってくれるのではないか』と勝手に期待してしまうのです。結局、言葉で頼まれていないのだから、夫がやってくれないのは仕方のないことです。でも、なぜか妻は、勝手に裏切られた気分になってしまうのです。
これも相手に対する自分都合の期待です。
ここでご紹介した二つの点を意識して、お互いの立場をしっかり理解して、「思いやり」を挟みながら言葉をかけていくことで、ストレスのない夫婦間のコミュニケーションが実現するはずです。