超加工食品に含まれる人工甘味料が
うつ病のリスクを高める?
調理済みで加工度の高い食べ物や飲み物は、手軽で、安く、おいしいかもしれない。しかし新たな研究の結果、高度に加工された「超加工食品」が、うつ病のリスクと関連していることが示唆された。超加工食品を大量に摂取する人は、うつ病のリスクが約50%高くなる可能性があり、特に人工甘味料との関連が大きいという。米マサチューセッツ総合病院の消化器科副医長で、米ハーバード大学医学大学院教授のAndrew Chan氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に9月20日掲載された。
Chan氏が特に問題としているのは、「水素添加のような工業的処理によって、高度に加工された食品」だ。水素添加は化学的な食品製造工程の一つで、食品に含まれるトランス脂肪酸の量を著しく増加させる。トランス脂肪酸の摂取と心疾患リスク増加との関連については、これまでに繰り返し指摘されてきた。また、食事がうつ病リスクに影響することが過去の研究から示唆されていた。これらのことからChan氏らは今回、超加工食品がうつ病リスクに及ぼす影響を調べた。
この研究は、米国の看護師健康調査II(Nurses’ Health Study II)の参加者から、研究開始時点でうつ病のない3万1,712人の中年女性(研究開始時42~62歳、非ヒスパニック系白人95.2%)を対象として行われた。2003年から2017年にわたり4年ごとに食事内容を調査し、超加工食品に相当する穀物食品、スナック菓子、調理済み食品、デザート、油脂・ソース、加工乳製品、加工肉、飲料、人工甘味料の摂取量を調べた。Chan氏によると、これらの食品には着色料、安定剤、乳化剤などの添加物が含まれていることが多く、食品の例として、いわゆるファストフード、クッキー、ポテトチップスなどが該当するという。
解析の結果、研究終了時までに2,122人がうつ病を発症した。1日当たりの超加工食品の摂取量が上位20%のカテゴリーに含まれた対象者は、下位20%の対象者と比べて、うつ病のリスクが49%高かった(ハザード比1.49、95%信頼区間1.26~1.76)。
超加工食品の内容ごとに検討すると、うつ病のリスク上昇と関連していたのは人工甘味料のみだった。超加工食品の摂取量が多いほどうつ病のリスクは高くなり、反対に、摂取量を4年間で1日当たり3サービング以上減らした人は、摂取量が変化しなかった人と比べてうつ病のリスクが低下していた。