いずれにせよ、この途方もない人数は、2020年度には平均通過人員72万人、輸送人キロでは1483万人キロにまで落ち込む。この人数でもまだまだ“途方もない”人数が乗車しているといえるが、一方で減ったのも41万人と、また途方もない人数だ。輸送人キロでいえば、844万人キロが減っている。

 ここで、減少率トップであった成田線の乗客数の推移も確認しておこう。2018年と2020年の比較で、成田~成田空港間は平均通過人員2万6072人から6359人、路線距離は10.8kmなので、その値を掛けると輸送人キロは19万325人キロから4万6429人キロとなる。こちらもその路線の商圏に大きな打撃を与える数字であることは間違いないのだが、一方で山手線の乗客数の減り具合の大きさがわかるだろう。

 ちなみに、山手線に次いで2018年度の平均通過人員が多いのが中央線(神田~高尾間)で69万337人。これが2020年度には44万8960人にまで落ち込む。実に37万9623人の減少だ。中央線は山手線の2倍以上の距離があるため、輸送人キロにして1962万人キロもの減少となる。

 1日あたり各路線から数十万人規模の乗客が減っているわけだ。

乗客数が減っている路線はどこか

 ここであらためて、“率”ではなく“数”が減った路線について見てみよう。このランキングは、もともと乗客が多い路線が上位となる(表1-3参照)。

表1-3_首都圏で乗客数が減った路線(区間)首都圏で乗客数が減った路線(区間) 画像:ワニブックス 拡大画像表示

 先述も含めて整理すると、乗客数が最も減ったのは山手線で、平均通過人員が41万4589人減。次いで中央線、埼京線、東海道線が24~21万人減。東北本線(東京~大宮(王子経由、尾久経由)、赤羽~大宮(武蔵浦和経由)など)が19万人、総武線(東京~千葉、錦糸町~御茶ノ水)が13万人と続く。

 そのほか、首都圏で通勤電車として使われている路線はおおむね5~6万人規模で減少している。

 もともと乗客が多いとはいえ、ひとつの町、市レベルの人数が都内の各路線の人の流れから消えた。一方で当然ともいえるが、乗客が増えている路線はひとつもない。