女優の黒柳徹子さん Photo:Sports Nippon/gettyimages
「失言だった!」「話が盛り上がらなかった」など、会話の後に後悔をした経験は誰しもあるだろう。ここでは心地よい会話のための「観察」の重要性を、コミュニケーションの専門家が『徹子の部屋』を参考にひも解いていく。
自分の話ばかりする人は「黒柳徹子」を見習おう
1976年(昭和51年)から続く『徹子の部屋』(テレビ朝日)は、全国的な知名度を誇るので説明は不要かもしれませんが、女優の黒柳徹子さんがMCを務め、平日の昼間に、異なるゲストを迎えるトーク番組です。
2011年に「同一の司会者による番組の最多放送回数記録」でギネス世界記録に認定、2015年には放送1万回を達成。今もなお続く長寿番組として年代を問わず人気を博しています。
私自身も『徹子の部屋』のファンの一人です。この番組の魅力は、なんといってもMCの黒柳徹子さんから伝わるゲストに対する心配りと、小気味良い展開です。とくにゲストがたっぷりと話ができるような黒柳さんの質問と反応の抜群のセンスは、視聴者を画面に引き込む強力な吸引力があるように感じます。
ちなみに、ゲストの魅力や素顔を引き出すために、番組のスタッフの方々が各ゲストに関する綿密な情報収集をしたうえで、黒柳さんとのすり合わせが行われており、台本もしっかりあるそうです。
しかし、いったん会話が始まれば、予測通りにいかないことも多く、黒柳さんはいつも臨機応変な対応を求められていることでしょう。
会話のバトンをわたすタイミングが絶妙
この番組で私が着目しているのは、ゲストの方から「徹子さんのほうが、すごいですよ!」「徹子さんにはかないませんよ」などと称賛されたときや、「徹子さんはどうされているのですか?」などと質問をふられたときの黒柳さんの反応のすばやさと短さです。
称賛に関しては、早いときは1秒以内に、シンプルな言葉での返答だけではなく、印象の良い表情や、笑い声で反応を見せます。そして、すぐさま「でも……」と言って、別の話題でゲストに質問を返す頻度が高いのです。
また、ゲストから黒柳さんが質問された場合も、たいていが5秒以内で短く答えて、「でもあなたは、最近こんな活動も始めたんですって」「それで、今はどんなことに興味があるの」などと、ゲストへと完璧に会話のバトンを戻していきます。
こうした会話のやり取りのおかげで、視聴者はゲストの話をたっぷりと聞くことができます。限られた時間内で、黒柳さんがMCとしての役割を全うされようとするプロフェッショナルな姿や、ゲストとの時間を大切にされていることが伝わってきます。
自分中心の主語や話題を増やしてはいけない
仮に黒柳さんが、ゲスト以上に、自分を前面に出したいというような思いで番組に携わっているとすれば、ゲストから称賛されたり、質問されたときに「待ってました」とばかりに、自分のことを話し、番組内にゲストが複数存在するような、雑然とした印象になってしまうでしょう。
日常のコミュニケーションの中でも、相手に話をふらず一心不乱に自分のことばかり話すような人がいると、「自分が話すこと」「自分が注目されること」「自分が称賛されること」ばかりが会話の目的になっているように見えてしまい、げんなりしてしまうことがあります。
このような人は、相手を観察の対象として大事にしていないからなのか、「私はこう思う」「自分のときはこうだった」など、自分中心の主語や話題が増えてしまいがちです。
そうなることを防ぐためには、誰かと会話や、行動をともにする際、自分にはどのような役割があるのかを瞬時に決めてしまうことが大切です。







