「私の役割は?」と自問自答してみよう
役割といっても難しく考える必要はありません。
たとえば、あなたの友人がこのところ体調がすぐれなければ「不安を聞く(吐き出してすっきりさせる)役割」を、会議があいまいに終わってしまうことが多いメンバーの中では「タイムキーパーやスケジュールを把握し提案する役割」など、状況に応じて自分の役割を頭の中で設定します。
役割を設定したら、主語の9割は相手にした会話を徹底してみましょう。そこからしばらく、質問を交えて、相手の話を聞いてみます。自分の役割に沿った情報をキャッチし、自分が何を伝え、何を提案すべきなのか、会話の流れをつかみやすくしていきましょう。
体調がすぐれない友人には「今は、一番どこがつらいの?」ときいてみたり、まとまらない会議の終盤では「あのー、会議が残り15分となりましたので、そろそろ各自が今週中にできることの割り振りを決めてみるといいかもしれません」など。
自分が果たす役割を設定するだけで、あなたの観察眼は、適切で良質な質問や提案ができるよう、自動的に注意が向いていくでしょう。
「今、私の役割は何だろう?」という意識一つで、まるで『徹子の部屋』のように、ゲストたちに満足してもらえるような心地好い会話の時間や空間を、あなた自身も作り出していくことができるのです。
あなたは日常的に「観察力」を駆使している
普段から自分にとってなんなくこなせることを取り上げて、一つ一つの工程ごとに「なぜそれができたのだろう?」と分析してみると、観察力の仕組みについて知るヒントが見つけられそうです。
たとえば「着古したTシャツを雑巾にして下駄箱の中をきれいにしよう」というアイディアがあるとします。それは、何をどのように観察したことで生まれたものなのか、考えてきた順序を巻き戻してみます。おそらく「下駄箱をきれいにしたい」とか、もしくは「このTシャツ、もう着られないから捨てようかな」といった出発点が、イメージされるのではないでしょうか。
いずれも、自分の欲求や、自分を取り巻く状態に自発的に「気づく」ことが、すべての始まりとなるのです。
こうした習慣を応用し、人と会ったときにも同様に、自分と自分を取り巻く状態を知ることが、会話でも役立つ観察力を培う、第一のステップといえます。
つまり、あなたはすでに、観察力を味方につけて日常を過ごしているのです。そうした感覚を思い出しながら、会話中にも頭の中で観察したことを簡潔に言語化し、整理しておく習慣を意識してみませんか。