ちまたにあふれる
「うそのサイン」のうそ・ホント

 しかし、この隠蔽化が使えなくなるときがあります。それは、うそに関わる話題を追及されたときです。その話題を回避したら、怪しまれること間違いなしです。ですので、仕方なしに弁解を試みます。

 そこでうそをつく側が注意すべきは、体の動きです。私たちは、人を疑うとき、表情や動作、声のトーンに注意を払うからです。言葉そのものにも注意しますが、「念のために」とあらかじめ用意されたうそは、表面上、論理整合性がとれており、一見しても、うそがわかりません。

 それでは、私たちはどんな動きを怪しいと感じるのでしょうか。

「目をそらす」「顔や頬を触る」を思い浮かべた方が、大半ではないでしょうか。ちまたに流布するうその見抜き方に関する本に、登場する常連のサインです。

 しかし、詳しくは後述しますが、実のところ、それらはうそのサインではありません。うそをついていても、真実の話をしていても生じる現象だということが、複数の研究を統合したメタ分析(DePauloら、2003)から明らかになっています。

 特に、「人がうそをつくときには目をそらす」という思い込みは、2006年に行われた世界58カ国2320人に対する大規模な調査(Global Deception Team, 2006)によって、最も多くの人に共有されていることがわかっています。

 ここで重要なのは、私たちの思い込みです。

「目をそらす」「顔や頬を触る」がうそのサインだと信じられているのですから、うそをつくとき、相手の目をしっかり見て、顔や頬を触らなければよいのです。

 これが、二つ目の「最もバレないうそのつき方」です。