「同僚と比べてしまうのは、正しい心理です」
そう語るのは、これまで3500社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「誰も言ってくれないことが書いてある」と話題の著書『とにかく仕組み化』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに、仕組み化のメリットを説いた。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「できる上司」がやるべき指導方法を解説する。(構成/種岡 健)
どうせ、みんな「心の中」で比較し合っている
「競争があると、職場が殺伐とする」
これは、世間でよく言われることです。
しかし、果たして本当なのでしょうか?
というのも、人間は、つねに物事を比較して価値を認識しますよね。
たとえば、どこかでラーメンを食べておいしいなと思うときは、いままで食べたラーメンと比較して今回のラーメンの味を認識します。
誰か人を好きになるときも、これまで会ってきた人たちと比較して、その人の価値を認識しています。
つねに人は比較し、比較されている生き物です。
だったら、その前提に立って、仕組みをつくったほうがいい。
心の中で比べているのに、「表向きは競争をさせない」というほうが事実に反します。
「人と比べる」という仕組み
人の上に立つ人は、人と比べるための「仕組み」をうまく整えないといけません。
たとえば、営業であれば売上の数字をオープンにしたほうがよいでしょう。
それはもちろん、それぞれが自分の相対的な位置を知るためです。
それにより「当たり前」の基準があがります。
事実をハッキリと直視することによって、危機感が出ます。
「人と比べても仕方ない」
「私は人と比べることなんてしない」
と、誰もが口では言います。
しかし、気にならないわけがありません。
「成長したい人」を基準に据える
その前提に立ち、人と比べないように「隠すような忖度」はしないほうがいいのです。
そうしてしまうと、頑張っている人が頑張らなくなります。
逆に、頑張っていない人は、安心材料を得て、危機感がなくなります。
いかなるときも、「成長したい人」を基準に判断しましょう。
そして、「成長する機会」を奪わないことです。
「人と比べたくない」という下からの反発に負けると、その判断軸がブレます。
人の上に立つ人は、ここまでの「責任と権限」と「危機感」の考え方を押さえ、つねに「競争環境」を整えるようにしましょう。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)