ひと昔前までは軽い重量だと筋肉は発達しないと言われていましたが、いまは常識が変わりました。軽い重量でもパンパンになるまでやれば、筋肉は十分に発達し、バルクアップが見込めるのです。
「筋トレでは筋肉を縮めるときに
特に力を入れる」……×
筋肉が力を発揮するときは、筋肉が伸び縮みします。
筋肉が縮みながら力を発揮することを「コンセントリック」と呼び、コンセントリックの動作を「ポジティブ」と呼びます。
逆に、筋肉が伸びながら力を発揮することを「エキセントリック」と呼び、エキセントリックの動作を「ネガティブ」と呼びます。
懸垂(けんすい)を例にとると、身体を持ち上げるときがポジティブ(広背筋などが縮む)、身体を下すときがネガティブ(広背筋などが伸びる)となります。
2つの動作のうち、一番キツイのはもちろんポジティブで、比較的ラクなのはネガティブです。そのため、ネガティブはポジティブのおよそ140~170%くらいの筋力を発揮できると言われています。よって、この2つの動作のトレーニングを比べた場合、ネガティブのほうが筋力増強・筋肥大効果は高くなります。
最近では新潟医療福祉大学が上腕二頭筋のネガティブトレーニング(実験では、アームカール運動の3秒下ろしを6回1セット、週5回。ポジティブ動作では補助を使って力を使わずに上まで持ち上げる)を行うことで、4週間で10%以上の筋力増加が起こることを示しています。いっぽう、ポジティブエクササイズではそれほどの効果は得られませんでした。
このことから言えるのは、筋トレで大事なのは上げるときではなく、むしろ下ろすときだということになります。丁寧にゆっくり下ろすことこそ、筋トレ効果を高めるコツなのです。
腕立て伏せを例にとれば、上げるときは普通のスピード(1~2秒)で上げて、下ろすときはゆっくりと3~4秒かけて下ろすようにする、ということです。そうすることによって、ポンポンとスピーディーに行うよりもはるかに、筋力もバルクアップ効果も高めることができます。