ある学生はボタンを押せばそのカラー写真を見せられるのを終わらせることができる。別の学生は何秒写真を見せられるか事前に教えてもらえるが、自分でボタンを押して写真を見るのをやめることはできない。
さらに別の学生は、終了時間を知らされず、ボタンを押して自ら終了もできない環境に置かれる。そして実際にはどの学生も平均的に同じ時間を見るようにしておく。
するとボタンを押せば写真を見ることをやめられる学生が皮膚の痙攣反応が最も少なかった。つまり恐怖や不安が最も少ないということである。
要するに、実際にコントロールできるかできないかではなく、その人がコントロールできると思っているか、思っていないかでストレス耐性は違うということである。
そう考えると、自分はストレス耐性があると思うことがストレス耐性を上げる。まず自分はこの事態をコントロールできると思うことが大切である。
ストレスに対する対処能力があっても、自分が「ない」と思えば実際に対処能力はなくなってしまう。
自分が自分をどうイメージするかで、「実際の自分」は影響を受ける。
心の姿勢が“受け身”の人は、こうして逆境に弱くなる
先に述べた自分が状況をコントロールしているという感覚は、“受け身”と正反対の感覚である。
受け身の人はストレスに弱い。逆境に弱い。逆境ですぐに心が折れる人は、多くの場合ストレスそのものに負けたのではなく、自分の受け身の姿勢に負けたのである。自分に負けるな!
物事を「ああされた、こうされた」と受け身で解釈していると恨みになってくる。「あいつのためにこうなった」と解釈していると悔しさで消耗する。
しかし能動的に解釈すると自分の中に力を感じることができる。そこでストレスを払いのけることができる。自分の中に力を感じるということは心の中に核ができるということである。心の砦ができると言ってよいかもしれない。