「管理職になりたくない人」が8割!今こそ求められる人が持つ“絶滅危惧スキル”とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

組織運営に必要な「推進力」と「維持力」

 多様性ということが、あちこちで問題になっている昨今、リーダーシップのあり方においても多様性は重要だ。

 組織の運営に必要なリーダーの役割としては、通常、大きく分けて以下の二つがある。一つは目標に向かって組織全体のゴール設定、戦略設定、役割分担、インセンティブ設計、メンバーへの指示などを行う“推進的”な役割。もう一つは、目標達成のために求められる個々人の業務範囲やスキルの間の溝を埋め、モチベーションを一定レベルにし、かつチームメンバー間の感情のもつれなどを修復するなどの“維持的”な役割である。

 この二つの役割を一人の管理職が演じられればよいのだが、人によっては「推進力」が強く「維持力」が弱かったり、まったく逆の人もいたりする。昭和の昔は、管理職が推進型であれば年長のメンバーが維持型として補完する、または管理職が維持型であれば若手が突っ走って推進するなどの方法で、組織全体として、「推進」と「維持」の両方が機能するようになっていた。

 しかしながら現在は、もちろん会社にもよるが、この両方の役割をすべて一人の管理職に負わせようとする傾向が強くなっている。戦略を構築し、しかも個々人の状況もone on one(一対一)の面談でしっかり把握しろと上から指示されているのである。両方をこなせる万能型もいるだろうが、普通の人には難しい。

 では、昔のように他の人が管理職の弱い部分をサポートしてくれるかというと、それもない。というか、やることを求められない。人事考課が個々のやるべき業務を明確に設定する時代に入っているからだ。

 もし管理職のサポート業務が誰かに割り当てられるのであれば、それはそれだけ職責が重くなったということであり、その分会社は高い人件費を支払うことに(原則的には)なる。となれば、管理職の補完業務をメンバーに求めることはできず、補完的機能は人に頼めない。その結果、すべてのしわ寄せが管理職に集中してしまっているのである。