スマホ時代になって、長い文章が嫌われるようになった。そこでコピーライティングの第一人者、神田昌典氏25年の集大成『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』の中から、スマホ時代に対応した「適度な行間を取るテクニック」を抜粋して紹介する。

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一人でできる効果的な方法

 この連載では、コピーライティングの技術を紹介している。

 ターゲットに近い人が身近にいて、すぐに読んでもらえればいいが、そうでない場合はどうしたらいいか?

 一人でできる効果的な方法がある。

 書いたレターを、自分で声に出して読んでみる、つまり音読だ。

 音読は目で文字を追うだけの黙読より読むスピードは落ちるが、丁寧に読め、次の3つの効果がある。

1.発音しにくい部分を発見しやすい
2.一文が長い部分を発見しやすい
3.言葉遣いの違和感を発見しやすい

 1.「発音しにくい部分」は、「平易な言葉で書く」「口語で書く」(本書271ページ)原則から外れていることがわかる。

 2.「一文が長い」と一気に読みきれない。息継ぎしたら一文が長い証拠。

 この場合、文の冒頭と最後がミスマッチになっている可能性が高い。

 論理的に正しくても、主語と述語がかけ離れていると、何を言いたいかわからない。

 まずは、文章を短くすることを考えよう。

 それでも一定の長さになる場合は、自分が音読するときに「息継ぎ」できるところに、改行や読点を入れるといい。

 次の文章は、上記の1.と2.が同時に起こっている。

 「彼らには非常に酷似していると思われるような共通点が数多く存在することが見受けられる傾向がありました」

 これを声に出して読んでみると、特に「非常に酷似していると思われるような」「存在することが見受けられる」が発音しづらい。なによりこの文章は冗長で回りくどい。

 この文章は次の表現で十分だ。

 彼らはとてもよく似ていました。

 簡単なことを難しく表現しがちな人は要注意。

 コピーライティングで売れたいなら、今すぐやめよう。

 百害あって一利なしだ。

 売れるメッセージは、平易で読みやすいことがなにより重要だ。

 また、3.「言葉遣いの違和感」を払拭するにも音読が有効だ。

 ワードなどの文章作成ソフトのスペルチェックと校正機能を使っても、言葉遣いの違和感は払拭しきれないときが多い。

 上の例で「非常に酷似」は日本語としておかしいが、文章作成ソフトのチェック機能でエラーにならないことがある。

(本原稿は、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)