【違い3:エネルギー不足】
人口減少と並ぶ生産性の最大のマイナス要因

 政府によれば、今年の冬は政府が民間に節電要請をすることはないそうです。これは良いニュースなのですが、実はエネルギー不足こそが日本の生産性の足を引っ張る最大の不安要因です。

 今、この記事で問題にしているのは「この先、日本の生産性を上げて1人当たりGDPを押し上げるためにはどうすればいいのか?」という話なのですが、節電要請はその視点で見れば、日本人の活動が止まりますから人口減少と並ぶ生産性の最大のマイナス要因です。

 問題は日本の電力は今、老朽化しているうえに発電能力が限界に近いということです。ですから、冬になってみんなが一斉に電力を使おうとするとパンクするおそれが出てしまいます。今年、節電要請がないのはエルニーニョのおかげの暖冬だからであって、たまたま今年は大丈夫だという話でしかないのです。

 そしてこの先、日本はCO2の排出量を大幅に下げなければならないという課題を抱えています。10年後には今のようにLNGガスをたくさん燃やして電気を作ることができなくなります。一方でガソリン車も段階的に廃止されていきますから、10年後、20年後には発電能力は今の1.2倍以上必要になります。

 このエネルギー不足による経済縮小危機を乗り越えるには、発電能力を増やすか、技術に投資して水素の形で海外のグリーンエネルギーを輸入できるようにするしか解決策はありません。

 その観点で見れば、日本は第2集団の先進国と比較して、あまりにエネルギー政策が脆弱(ぜいじゃく)です。検討しかしておらず、投資が進んでいないのです。このまま放置すれば、やがて日本は第4集団に転落するでしょう。

 このように捉えると、日本のGDPが世界第4位に転落したというニュースは、日本経済にとってそれなりに重大なニュースです。あらためて確認してみると、日本は第3集団の中心グループを形成しています。その地位に落ちたのは構造的な課題がありました。女性が活躍できず、イノベーションが止められ、エネルギーが不足する国へと転落しているのです。

 ただ、課題が分かれば対策も立てられます。日本を第2集団に戻すことを目標にして、もう一度国のあり方を考え直す時期に来ているのではないでしょうか。