18年から高齢者の高額療養費所得区分は6段階に
一定の所得がある人は負担が引き上げられた

 下図の通り、70歳以上の高額医療費の所得区分は6段階となっている。

 70歳以上の人の高額療養費の所得区分が、6段階に分けられるようになったのは、2018年8月からだ。それまでは4段階で、所得の高い人の自己負担限度額も、現役世代より低く設定されていた。つまり、高齢者は所得に関係なく、一律に優遇されるような設計となっていたのだ。

 だが、超高齢化社会に対応するために、国は「給付は高齢世代中心、負担は現役世代中心」という負担と給付の在り方を見直し、「全世代型の社会保障に転換する」という方針を打ち出している。

 そのため、現在は、70歳以上の人も一定以上の所得があれば、相応の負担が求められるように変わっている。ただし、すべての高齢者の負担が引き上げられたわけではない。

 高齢者負担の見直しに際しては、複数の政府文書で「低所得層への配慮」を行うことが約束されている。そのため、年金や給与の少ない高齢者が貧困に陥ることがないように、所得区分が「一般」「住民税非課税」に分類される人に対しては、引き続き、医療費の自己負担分を軽減する措置が行われているのだ。

 特に、住民税非課税世帯の中でも、収入が老齢基礎年金だけなど、所得が一定額以下の人に対しては、さらに1段階低い限度額が設定されている。

 このように、70歳以上の人の高額療養費は、現役世代に比べると、低所得層の自己負担限度額が低く設定されている。これに加えて、冒頭で示したように、「医療費の全額を世帯合算できる」「通院のみの限度額が設定されている」という2つの仕組みによって、高齢者の高額療養費は現役世代よりも有利な仕組みになっているのだ。具体的に見ていこう。