ーー同じく国会質疑では、ホストが女性客に対して売掛金を回収する目的で風俗で働くことを勧める問題にも追及しました。それに対し、厚労省は「職業安定法63条に該当する可能性がある」と答えています。

答弁の中で、一番のポイントだったと考えています。同条2号は、「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」で、職業紹介や労働者の供給を禁止しています。この「公衆道徳上有害業務」は風俗やAVへの斡旋に適用されてきた経緯があり、今回も「該当する可能性がある」とされました。

さらに注目したいのが1号も同様に言及されたことです。こちらは「暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」で、職業紹介や労働者の供給を禁止しています。

この精神を不当に拘束する手段こそ、ホストによる女性客へのマインドコントロールです。証明は難しいにしろ、厚労省がこのような基準を示したことで、警察も適用を検討できるようになりました。この問題に警察庁が介入する可能性が示されたのです。

ーーマインドコントロールは、旧統一協会問題や故・ジャニー喜多川氏による性加害問題でも指摘されてきました。

ここ1、2年で、マインドコントロールが生む被害を社会で共有できるようになってきました。以前は「なんだそれは?」という認知だった状況が変わった。今回、こうした理解ある答弁を引き出せた土壌になったように感じます。

ーー国家公安委員長の松村氏も、「今後も各種対策を強力に推進されるように警察を指導して参りたい」と述べています。

松村氏は、女性を売春に追い込むなどの返済困難な売掛をさせることについて、「常識的に考えて問題ではないか」との認識も示しています。ここまで言い切っているのは、大変珍しいことです。警察の決意の表れと捉えました。