小規模な職場ほど「人間関係の凸凹」をつくってはいけない
それは、小規模チームにおける関係性の凸凹がもたらすインパクトは、大規模チームよりも大きいという内容です。
少人数の部下しかいないのにえこひいきがあると、部下どうしは協力し合えず、その結果、十分なチーム・パフォーマンスを上げることができないのです。
これは、理論的にも説明可能な結果です。
チームの中で、1人の上司をめぐる関係性の良し悪しは、いわゆる、上司に目をかけてもらえている身内(内集団)と、そうではないよそ者(外集団)という2つのグループの結成を意味します。
小規模のチームの場合には、大規模のチームよりもお互いの存在をより明確に、個別に認識し合える状態にあるため、上司から提供される仕事上有利な資源があっちに行った、こっちに行ったということがはっきりわかってしまいます。(関連記事:「人間関係が良い職場とそうでない職場」決定的な違い)
このことは、お互いにとって良い感情をもたらしません。
資源を奪われたグループには敵意や妬みの感情を、資源を受けたグループには優越感や軽蔑の感情を生み出す素地が整っていくからです。
リーダーは、目が届く少人数のチームにおいてはとくに、凸凹の少ない良好な人間関係の構築に努めるのがいいでしょう。
脚注:[1]Sui, Y., Wang, H., Kirkman, B. L., & Li, N. (2016). Understanding the curvilinear relationships between LMX differentiation and team coordination and performance. Personnel Psychology, 69 (3), 559-597.
(本稿は、『武器としての組織心理学』から抜粋・編集したものです。)