水素エンジンの開発に
乗り出すJR東海
異なるアプローチで水素活用を検討しているのがJR東海だ。11月16日、既に開発を進めているFC車両に加え、水素を燃料とする「水素エンジン」の開発に着手すると発表したのだ。
水素エンジンといえば、トヨタが開発するガソリンエンジンをベースにした乗用車用のものが有名だが、こちらは既存のディーゼルエンジンを改造し、水素を燃料とする水素エンジンに置き換える「水素化コンバージョン」を手掛ける「i Labo株式会社」と共同で開発する。
二正面作戦の理由は、燃料電池と水素エンジンは出力やエネルギー効率など特性が異なるため、山間部を長距離走行するJR東海の非電化路線への適合性を検証するのが目的とのこと。2024年度以降、走行条件を再現可能な研究施設で水素エンジンの模擬走行試験を実施する計画だ。なお将来の水素供給体制はENEOSと協力する。
水素を脱炭素の有力な選択肢と考える政府は、水素の導入量を2040年までに現状の6倍に引き上げる目標を掲げるが、現状では水素の供給価格は既存燃料の最大12倍に達するという。いくら水素を活用する仕組みができてもコストが見合わなければショーケースで終わり、本格的な展開は不可能だ。
鉄道事業者はこれらの課題についてどう考えているのか、取材の結果は改めてお伝えしたい。