またそもそも設置場所が少ないことや、「スタートアップ的にアジャイルで作り込んできた」が故にシステムのエラーのような不具合が生じていたことなど、改善点も浮き彫りになってきた。
「(アンケートなどを通じて)感想を聞いても、コーヒーの味には満足いただいている方が多い一方で、設置場所が少ないといった声が多い。設置場所が少ないことから日常使いも難しく、それが成長の足かせにもなっていると感じています」(中尾氏)
現在は量産化に向けた開発を進めており、不具合の改善や利便性向上に向けて「ほとんどイチから作り直した」という新バージョンを春から夏にかけてローンチする予定。調達した資金を用いてマーケティングなどにも投資をしながら「2024年末に100台の設置」を目標に、事業を加速させる計画だ。
「root Cの会社」から「OMOの会社」へ
New Innovationsでは今後もroot Cに力をいれていく方針だが、売上などの観点ではOMOソリューション事業が主軸となりつつある。同事業は省力化や自動化を軸に、ハードウェアの製造とソフトウェアの開発を通じて、顧客の事業成長を支援していく取り組みを指す。
2021年には事業の一環として、ECサイトで注文した商品を店舗のロッカーから受け取れる「スマートショーケース」を開発。ブルーボトルコーヒージャパンと協業し、“非対面カフェ”を実現するオーダーサービスと受取ロッカーシステムの製造も手掛けた。
中尾氏によると現在は小売や飲食を中心に7つのプロジェクトが進行中。特にグローバルカフェチェーンや飲食チェーンなど、飲食領域における3つの案件が先行している。
守秘義務の観点から現時点で具体的な内容は公表されていないが、「(開発中のものとは異なるが)イメージとしては『オムライスを自動で作る』といったように、特定のメニューを自動で調理するようなロボット」(中尾氏)を開発するという。
「3つのプロジェクトの量産台数を合計すると、国内外で10万台規模になる」と中尾氏が話すように、各案件の規模は大きい。早ければ今秋には日本の一部店舗で試験運用を開始する見込みだ。
「『新しいテクノロジーを使って、新しいマーケットで、新しいことをやる』という選択は絶対にしないように決めています。現在目を向けているのは、グローバルでものすごく規模が大きいレガシーな領域。すべての要素が新しい場合、ハードウェアではリスクが大きいので、まずはすでに確立しているマーケットにテクノロジーを入れることで、成長に貢献したいと考えています」(中尾氏)