現在はフランチャイズ形式で24店舗を展開しており、MAU(月間利用者数)は約1.3万人。20代の男性を中心に利用者を広げる。

競争が激しくなっており、“レッドオーシャン”にも見えるフィットネスジム市場。スタートアップがどのように戦っていくのか、FiT代表取締役の加藤恵多氏に聞いた。

競合でなく追い風、“ちょこざっぷの近所”でも増える会員数

「現時点ではフィットネスジム人口のパイを取り合っているというよりも、これまで応えられていなかったニーズや新しいニーズを掘り起こしている感覚に近いです」

LifeFitのオープンから約1年半。加藤氏は事業の現状をそのように説明する。

LifeFitを含めた低単価の24時間ジムに関しては、この1年でchocoZAPの存在感が急激に高まっている。LifeFitとしては比較対象となるサービスが増えてきている状況だが、「実は必ずしもバッティングしていない」と加藤氏は話す。

「最初に立ち上げた店舗の近くにchocoZAPさんがオープンされたのですが、実はその後も会員数は増え続けたんです。もちろん利用者の中には(chocoZAPなどに)移動した方がいる可能性もありますが、主なユーザー層は明確に異なっていると感じます。確かにデジタル広告のCPA(獲得単価)が上がっているといった側面はありますが、パイの奪い合いになってユーザーが全く増えないということはありません。むしろ業界が注目されることでLifeFitを知ってもらえるという意味では、追い風になっています」(加藤氏)

代表取締役の加藤恵多氏
FiT代表取締役の加藤恵多氏は23歳の起業家。京都大学在学中、バイクを買うために貯めていた数十万円を元手にスペースと器具を調達し、ワンルームでパーソナルトレーニングを始めたのが事業の原点だ

トレーニング器具だけでなく、エステや脱毛関連のマシンも充実しており、初心者層を中心に女性の利用者も多いchocoZAP。一方でLifeFitは20代の男性ユーザーが中心で、全体の8割程度を男性が占める。

ユーザー属性だけを見れば、LifeFitはchocoZAPよりもエニタイムフィットネスの方が近いと言えるだろう(同ブランドも2023年6月末時点では40代以下の会員が約9割、男性が8割弱を占める)。

8割は「ジムが続かなかった人」や「ジム未経験者」

LifeFitの店舗内のイメージ
LifeFitの店舗内のイメージ

加藤氏によるとLifeFitでは「フィットネスで成果を出したい」「運動を習慣にしたい」といった“成果にこだわるユーザー”が多く、店舗のレイアウトや設置する器具も本格的なフィットネス空間を目指して設計しているという。

具体的には60〜100坪程度の箱の中で、ユーザーのレベルや用途に合わせてゾーンを分けながら複数のマシンを設置。初心者でも扱いやすいマシンだけでなく、慣れてきたユーザーや中上級者用のマシンも用意し、フリーウェイト用のスペースなども設ける。