ローンチ時点でMantra Engineが対応する言語は英語と中国語(簡体字)のみだが、今後順次追加していく予定だ。

マンガにおける言語の壁を取り払う

Mantraではプロダクトローンチに先駆けて、6月にAI特化型のインキュベーター・ディープコアやDMM.com(DMM VENTURES)などから約8000万円の資金調達を実施した。当面はこの資金も活用しながら、法人向けにマンガの多言語展開をサポートしていく方針だ。

「会社としてやりたいのは『マンガを世界に届けること』。理想的には世界中のマンガが発売されると同時にいろんな言語で楽しめるような環境を作りたいと思っています」(石渡氏)

もともとMantra創業者の2人は博士課程在籍中にそれぞれが海外でインターンシップに参加。その際に他国の学生と日本のマンガやアニメの話で盛り上がり打ち解けた経験が、この領域で事業を立ち上げるきっかけの1つになった。

「母親が中国人のため、子どもの頃から中国に行く機会が何度もありました。『日本のマンガやアニメは人気なので世界中どこに行っても通じる』という話はいろんな人から聞きますが、自分自身も幼い頃から同じような経験をしてきました。だからそのようなコンテンツの流通を加速させるようことをやりたいという思いは以前からあったんです」(石渡氏)

SNSや漫画投稿サービスが普及し、名もない個人が自分で描いた作品を社会に対して気軽に発表できるようになった。ゆくゆくは法人に限らずそういった個人が世界に対しても作品を配信できるようにサポートをしていきたいという意向もある。

「インターネットが普及したことによってコンテンツ流通における距離の壁は大幅に解消されましたが、言語の壁はまだまだ高い。マンガという領域においては、自分たちがその壁をなくしていけるようにチャレンジしていきたいです」(石渡氏)