これらの商品に何らかのギフト加工が施された瞬間、たとえばギフトを送る相手の名前が入れらたタイミングで、その商品はSKUという概念を外れて固有のものになり管理の難易度も上がる。オプションを担保しながら発送のキャパシティを拡大することができたのも、物流周りのシステムやオペレーションを自社で作りこんでいるからこそだ。
とはいえ、今後1日に数万件、数十万件の商品を発送していくことを目指すのであれば「まだまだ改善できる余地は大きい」と斎藤氏は言う。今回調達した約11億円は物流システムを一層強くするための軍資金だ。
IoTデバイスや自動化で更なるロジの効率化目指す
斎藤氏によると、今後Graciaでは大きく3つの段階に分けてギフトロジのさらなる効率化・高度化を進めていく構想だ。
最初のステップは「基本的な物流管理の仕組みを自社で整えていく」こと。これは同社の今までの取り組みもまさにそうだが、在庫管理や倉庫管理、受発注などのオペレーションを一元管理できるシステムを整備することで、フレキシブルな顧客対応ができる土台を作る。
その次の段階では「倉庫IoTデバイス」などを取り入れながら在庫管理の効率化を目指す。一例をあげるとセンサーやタグを活用して梱包された商品を早く、正確に確認できる仕組みなどを考えているという。
「(名入れなどのオプションを選ぶユーザーも多いため)サービスをスケールさせていく上では誤発送を効率良く防ぐ仕組みがポイントになります。梱包して中身を見れない中で、その商品で間違いないのか。確認作業はかなり大変です。あらかじめ梱包前にタグを発行して伝票データと紐づけておき、後からそれをセンサーで読み取って確認できるような仕組みが作れれば、かなりの効率化に繋がると考えています」(斎藤氏)
3つ目のステップではさらに一歩進んで「物流の自動化」に着手する。もちろん全行程を自動化するのは難しいが、梱包作業の一部などを部分的に自動化することはできる。たたまれた状態の段ボール箱を開いて組み立ててくれる「ダンボール製函機」がすでに商品化されていることからも、技術的には決して不可能な話ではないだろう。斎藤氏は「ラッピングの自動化」を例に出しながら「人手を増やさずにより多くの商品を発送できるようになれば、物流コストを抑えてその分を顧客に還元することもできる」と話していた。
「『ギフト加工をいかにデジタル化できるか』がこれからの重要なテーマです。特に自分たちはギフト加工の中でも流通加工の部分に力を入れていきます。この領域はあまりデジタル化が進んでおらず、まだまだやれることも多い。自分たちが新しいやり方を発明して現状を変えていくことで、今まで実現できなかった価値を提供していきたいと考えています」