集めた資金は物流体制の構築に用いる計画だ。以前から外部サービスなどを利用せず、物流関連のオペレーションや管理システムを内製して磨き上げてきたGracia。プロダクトの現状と今後の展望について斎藤氏に話を聞いた。

140種類のオプションに対応、ギフト特化のECスタートアップ

TANPの特徴は豊富な商品の選択肢と、ギフトに特化することで実現した加工(オプション)にある。取り扱う商品数はSKU(品番)基準で約1万2000点、ブランドの数も約800社まで増えた。

これらの商品を「誕生日」「結婚記念日」のようなシチュエーション、「彼女」「父親」などギフトを渡す相手、「THE BODY SHOP」「kailijumei」といったブランドといった軸で絞り込みながら、気に入ったものをオンライン上で選んでいく。

その際に欠かせないのがラッピングやメッセージカードなどの“ギフト加工”だ。

TANPではラッピング1つとっても、ギフト用の紙袋からオリジナルの限定ボックス、誕生日用のバルーン、ダンボール内の装飾など豊富なオプションが用意されている。ブーケやドライフラワーを同梱して華やかさをプラスすることもできるし、大事な相手の記念日には写真付きのメッセージカードを入れてもいい。

「TANP」ではラッピングやギフトカードもさまざまなオプションから選択できる
「TANP」ではラッピングやギフトカードもさまざまなオプションから選択できる

商品によって選べるオプションは変わるが、現在は全部で140種類ほど。クリスマスリースや父の日向けのオリジナルデザインメッセージカードなど季節ごとのオプションも拡充している。面白い取り組みとしては、ダンボールではなく「宝箱」に商品を入れて送れるオプションもある。

斎藤氏は取材の中で「ギフトECにおいてはコンテキストが大事になる」と強調する。もちろんギフトECでは最適なものを選べる仕組みも重要であり、TANPでもブランドと手を組み商品数を増やしているが、その一方でギフトならではの文脈に沿ったサポートがユーザーから選ばれる理由にもなりうる。

「世の中には『大事なギフトをECサイトで買うなんて』と思う人もまだまだいます。そんな時に『TANPなら名入れをしたり、写真付きのメッセージカードを作ったりできるから良い』と思ってもらえるような価値を実現したい。渡す相手やシーンを考えて花を添える、プレゼントに名前を掘るといったことができれば、お互いの話も広がるし思い出にもなります」(斎藤氏)

ギフトを段ボールではなく、「宝箱」で送れるオプションもある
ギフトを段ボールではなく、「宝箱」で送れるオプションもある

テレビCMも地方限定で開始、前年同月比で400%成長を達成

オプションは基本的に有料になるが、約8割のユーザーが何らかのオプションを追加しているそうだ。

「ギフト加工は間違いなくニーズがある一方で、総合ECサービスなどだとラッピングやメッセージ加工の選択肢が限られていることも多いです。またブランドも『ギフトとして商品を販売したい』という考えがあり、ギフトに特化して扱っていることや、オプションが多いことが選んでもらえる理由にもなっています。どちらの視点でもニーズと現状に歪みがある状態で、TANPではその歪みを解消してきました」(斎藤氏)