「ENEOSと大林組は(LUUPを)5〜10年後に街の交通インフラにするという視点を持っています。僕たちは交通インフラを目指しているただのベンチャーですが、同じ視点を持つ強力な協業パートナーと手を組むことができました」(岡井氏)

ENEOS・大林組と目指す未来都市

ENEOS・大林組とLuupの協業では、生活全般をスマート化した、いわゆるスマートシティの一部となる電動の交通インフラを目指し、中長期的な視野で連携する。5〜10年後の未来に向けインフラを構築していくには、今すぐにでも準備を開始する必要があるからだ。

岡井氏はENEOSとの協業に関して、「電動モビリティシェアのインフラと最適なエネルギー供給の体制構築を一緒に行い、みんなが自由に移動できる社会を2023年までに作る」ことが目標だと話す。

7月1日にはテスラの時価総額はトヨタ自動車を上回り、EV需要が大きいことを印象付けた。ENEOSが運営するガソリンスタンドの役割も変わり、将来的にはEVや多様な電動モビリティに対するエネルギー供給スポットとなっていくことは想像に難くない。

本記事のトップに掲載した画像は、Luup提供の「電動マイクロモビリティが普及した将来の街のイメージ」のイラストだが、このイラストの中でも、ガソリンスタンドのような施設には、自動運転EVが停車し、電動の自転車やキックボードが設置されている。

「まちづくり」の領域で建築・土木・開発の事業を行なっている大林組とは、スマートシティの実現に向け協業する。

新しく作られる各物件とのコラボレーションや、研究施設への導入も視野にあるが、岡井氏は「スマートシティを土台から作っていく上で一緒に協議する会社として選んでいただいた」と話す。

「どんどん安全になっている電動モビリティが2025年に走っていないわけがないという前提で、2025年、遅くとも2030年には必要となる、高齢者が人口の3分の1を占める時代の新しい街に必要な移動手段を、一緒に考えていきます」(岡井氏)

シェアサイクルは設置ポート・自転車の台数拡大へ

Luupは5月よりシェアサイクルサービスを提供している。自社開発した小型の電動アシスト自転車を約50台用意し、都内約50カ所に設置されたポートに配置した。ユーザーはアプリをダウンロードし、自転車のQRコードを読み込むことでロックを解除し、利用する。

提供エリアは、渋谷区、目黒区、港区、世田谷区、品川区、そして新宿区だ。提供エリアの拡大は「まだ先の話」(岡井氏)。利用者回数やアプリのダウンロード数などの情報は開示しなかったが、「供給が需要に全く追いついていない状態」だと岡井氏は言う。提供開始から約3カ月が経過した現在、ポート数は約100カ所となった。当面はポート数、そして設置自転車数を増やすことに注力する。